Café del Mar 11 (Volumen Once)

音楽/Music

シリーズ11作目。かなりゴア風なジャケット。Café del Mar近くの壁に、かつて日本人が描いたという噂。円形に巡らされた手が曼荼羅を表しているように見える。見える部分には13面の顔が描かれており、腕の数にしても、普通見かける仏像のものよりも多い。千手観音をモチーフにして、想像上もしくは信念上に存在する仏を描いたのだろうか。ジャケットの見た目とは裏腹に、静的で幽遠な曲が多い。

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1.RHIAN SHEEHAN – TE KARANGA

前作から再登場のニュージーランド出身のリアン・シーハン。プラネタリウムや自然史博物館、ケネディー宇宙センターなどにも楽曲が使われることがある。

インド映画音楽を彷彿とさせる、笛の音が幽玄的なサウンド。囁くような歌声が乗り、広がりと深みのある開幕曲となっている。

2.M-SEVEN – INVISIBLE

カナダ出身のMaurizio Nalli。’06年のJPFミュージックアワードで最優秀賞を取っている。

宇宙を思わせる曲調は、ジャケットをイメージした曼荼羅を表しているのかもしれない。無限に広がる宇宙の深淵に足を踏み入れるかのような感覚を呼び起こす。ダウンビートであり、神秘さを思わせるアンビエントな音使い。

3.LUDVIG & STELAR – SIGNAL (AMBIENT MIX)

クロアチア出身のDamir LudvigとGoran Štetić(ゴラン・シュテティッチ)のプロジェクト。

ジャジーでスモーキーなサックスとギター、コーラスが、まるで夜風のように耳元で囁き掛けてくる。それが色気の漂うミッドナイトセッションのような空間を演出している。

4.JENS GAD – ART NOVEAU

ドイツ出身のJens gad。かつてはエニグマと共同プロデューサー、ゲストギタリストとしても活躍。

ダウンテンポでスモーキー。盛り上がりを抑えた静かなトーンが、聴く者に優しく寄り添ってくれる。派手な音を描かずとも、こういった曲調が熱くなった体や心をチルアウトさせてくれる。

5.OHM-G & BRUNO – IN’SIDE

こちらもシリーズ10から再登場のドイツ出身Olaf GutbrodとBrunoのプロジェクト。

リズムの良さと、ジャジーに一転するアダルティな印象のある曲。どちらかといえば海よりも外を見渡せるバスルームのほうが似合いそう。泡風呂で歌い楽しむ女性を想像してしまう。

6.ADANI & WOLF FEAT. PRAFUL – WHERE WOULD I BE (MEMORIA VERMELHA MIX)

オランダ出身のRoberto GaasterlandとDaniel Testas。ジャズやチルをスタイルとする。

こちらもまたアダルトでジャジーな雰囲気。ビートが脈動を打つと、ピアノとウィスパーボイスが曲を発光させ、サックスが曲を牽引していく。それが沈みゆく太陽と共に黄昏の海辺を彩る。

7.SONIC ADVENTURE PROJECT – WATERS IN MOTION

オーストリアを拠点とするPeter KoellererとThomas Viehboeck。

どこかクラシックで映画音楽のような印象的なピアノの旋律が、黄昏から闇に包まれる時間、海辺に寝転がり、星がいくつも生まれるのを仰いで眺めている気分になる。やがてその星々が、足元から体全体を包み込んでくるような感覚にも陥る。

8.MIRO – HOLDING ON

シリーズ3、9から、デンマーク出身のMads ArpとSteen Thøttrup。Gary B(Gary Frederick Butcher)と、ボーカルにJulie Mary Harringtonが参加。

どちらかといえばMads Arp色の強いボーカルチルアウト。ポップな要素を持ちながらも、どこか切なく響くメロディが、シリーズ全体に漂う哀愁をさらに際立たせている。心の奥に潜む感情を静かに揺さぶるような曲だ。

9.RUE DU SOLEIL – ESTONIA

シリーズ9、10と今作にもスイス出身のAlfonso Bianco, Dragan Jakovljevic, Yavuz Uslu, Claudio MontuoriとAndia Bischof-Foehrの5人が登場。

動物の鳴き声から始まり、それに呼応するかのようにエレキギターも鳴き声のように響く。タイトルのエストニアを意識するのならば、地中海ではなく、バルト海を臨んでいるのだろうか? 海鳥の強い鳴き声が、エストニアのカラフルな街並みが鳥瞰図のように脳裏に浮かぶ。寒冷な空気感のような、冷たさのある美しさが漂う曲。

10.JP JUICE – CETTE PLANÉTE

ドイツ人ハーフのNaoki Kenji(Uwe Schmidt)のプロジェクト。

ダークながら、キラキラしたダウンビートにジャジーなエッセンス。和風というものは感じないが、それもまた良い。クラブミュージック寄りのかっこいいチルアウトに分類される音使い。タイトルは惑星だろうか、この惑星は地球っぽい気もする。

11.DIGBY JONES – UNDER THE SEA

イギリス出身のDigby Jones。シリーズ8からの再登場。

ゆったりしたビートに特徴的なキーボードの音色。桟橋で釣り糸を垂らし、水面下にいる”ヤツら”との静かな対決を思わせる。のんびりした曲調は、果報は寝て待てと言っているようだ。

12.TACTFUL – NO FEAR

ドイツ出身のChristian SteigerとPeter Fischer。

ビートと笛の音、ピアノが優しく押し寄せる。心地よい音色を聴きながら遥かな海原を眺めていると、心の隙間にある不安を和らいでくれる。こちらも海の緩やかな波を思わせる、引いては寄せる曲。

13.HENRIK T – SUEÑO DE LA MONTAÑA

コロンビア出身のHenrik Takkenberg。独自にフラメンコ・チルと名付けたスタイルを持ち、アンビエントとフラメンコを結びつけた。また、日本の同志社大学での留学で尺八などを学んでいる。

尺八の音色や流れはまさに日本的と感じられる。しかし日本らしい・日本らしくないといった部分が必要ではなく、それがチルアウトとして成立しているのならそれで良いことなのだ。今作にフラメンコチックさは感じられないが、尺八が妖しげな幽玄さを醸し出しており、夜のカフェテラスに蝋燭を灯して聴けば、より幻想的な異世界感を楽しめるだろう。

14.DAB – DREAM ON

スペイン出身、Luis SanchoとドラマーのPedro AndreuのDigital Analog Band。

硬質だが豊かなサウンドと、優しく響くドラムのコントラストが、身体を冷やす風を感じさせる。宇宙の彼方から続けてきた旅は、波打ち際で到達した。陽が沈み、皆がその深い余韻を感じながら、彼方を無言で見つめている。完璧な幕引きにもう言葉はない。

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