1994年発表、Café del Marの記念すべき第1作。コンパイル担当は伝説的DJのJosé Padilla。Café del Marは、1990年代初頭に始まり、リスナーをイビサの美しい海岸に誘うチルアウトミュージックの代名詞となった。このVolumen unoは、音楽史における特別な位置を占めるアルバムであり、José Padillaがコンパイラーとしてその才能を発揮した重要な作品。特に、当時の時代背景やJosé Padillaの音楽的なビジョンが強く反映された楽曲群は、今でも多くのリスナーに愛されている。
この1作目は、のちのシリーズと違いCDジャケットに「タイトル-アーティスト名」で並んでいる。なので、ここではそのままのカタチで掲載しています。
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1.Agua – José Padilla
言わずと知れた伝説的DJ、José Padilla(ホセ・パディーヤ)。スペイン・バルセロナ出身で、20歳の時にイビサへ移住。1991年からCafé del MarのレジデントDJとして活躍し、1999年にvol.6を発表した後にCafé del Marを去る。2020年10月に大腸がんで64歳の若さで亡くなった。
曲の冒頭はやや厳かだが、すぐにイビサの情景を思わせるパーカッションや笛の音が広がり、どこか森の中を進んでいるような感覚にさせられる。この曲は、チルアウトが単なるリラックス音楽ではないことを強く印象づける。余談だが、彼の名前の発音はスペイン語なので「パディーヤ」や「パディージャ」と読む。
2.The Story of Light – William Orbit(Strange Cargo)
イギリスの著名なミュージシャン兼プロデューサー、William Orbit。マドンナやブラーのプロデュースを手がけ、グラミー賞をはじめとする数々の賞を受賞。クラシックと電子音楽を融合させた独特なスタイルが特徴。
この曲は、宵の口が始まったばかりのようなクールな雰囲気を持ち、テンポ感がありつつ心を落ち着かせる。
3.Smokebelch Ⅱ(Beatless Mix) – Sabres Of Paradise
イギリス出身の音楽ユニット、Sabres Of ParadiseはAndrew Weatherall、Jagz Kooner、Gary Burnsによって結成されたが、現在は解散している。
可愛らしい旋律と、ピーン・ピョーンという跳ねるような音が印象的で、気だるい夏の真昼のプールサイドや波打ち際で遊ぶ光景を思い起こさせる。ビートレスというタイトルだが、中盤からは楽しいイベントが始まりそうな予感さえ感じさせる。
4.Music For A Fourd Harmonium – Penguin Café Orchestra
イギリス出身のギタリスト、Simon Jeffesを中心に結成されたグループ。Simon Jeffesが1997年に亡くなった後、2009年から息子のArthur Jeffesが中心となり「ペンギン・カフェ」を結成。
民族音楽の影響が色濃く、山岳地帯の音楽のような雰囲気を持ちながらも、小さな村のお祭りのような和やかな楽しさがある。どこで流れても人々を幸せにする楽曲だ。
5.Sundance – Sun Electric
ドイツ出身のユニット、Max LoderbauerとTom ThielによるSun Electric。アンビエントハウス、トランスをスタイルとし、後年には実験的なエレクトロニカへと移っている。重鎮The Orbの目に留まり、交流がある。’90年発表の曲。
アンビエントミュージックを得意とする彼らだが、この曲ではややビートの効いたテクノ色が強いい。日が沈んだ後、少しずつ気分を盛り上げていく場面にぴったりな雰囲気を持つ楽曲だ。
6.Fanfare Of Life – Leftfield
イギリス出身のNeil Barnes、Paul Daleyによる(結成当初)。後にメンバーが交代し、Adam Wren、Sebastian Beresfordらが参加している。Mixmag誌に「イギリスのダンスミュージックで最も影響力のあるアーティスト」と称され、”プログレッシブハウス”とはMixmagが彼らを表現するために作った言葉。’02年に活動休止、’10年に再始動している。Paul DaleyはA Man Called Adamの元メンバー(パーカッション)で、AMCA脱退後にLeftfieldに参加、’10年の再結成時にはソロとしての活動を希望して辞退している。
ダークで民族的な雰囲気を漂わせる独特の一曲。ダブやハウスの源流を感じ、その低音の響きに体を支えられているような感覚をも抱かせる。
7.The Hypnotist – Sisterlove
アメリカ出身のClif BrigdenとJeremy Leahyによるプロジェクト。催眠療法士のBarrie Konicovによる音声をサンプリングしている。ダブ、アンビエント、ニューエイジをスタイルとする。’92年発表のこの曲のみの活動となっている。’24年にリマスターが出るほど、30年の時を経てもクラシックとして認知されている。
ベースとなる曲ではしっかりとバレアリックを感じさせ、そこへ囁くようなボイスが調和し、時代を超えても色褪せない魅力を感じさせる。9分に及ぶ長い曲だが、聴き疲れることなく、また飽きさせない不思議な力がある。
8.Second Hand – Underworld
UKテクノシーンの重鎮、Rick SmithとKarl HydeによるUnderworld。映画『トレインスポッティング』や2012年ロンドン五輪の音楽も担当している。
José Padillaがこの有名なアーティストを臆することなく選曲しているのが印象的。落ち着いた曲調だが、テクノ色が強く、他の個性的な楽曲の中でも見事にバランスが取れている。チルアウトは単なるリラックスではなく、多様な感情を揺さぶる音楽だと感じさせる。
9.Crazy Ivan – Ver Vlads
イギリス出身のDave Pineによるアーティスト。ハウス、パンク、プログレッシブロックを融合させたスタイルを持つ。
Underworldからの流れは自然ではあるが、非常に前衛的な曲。電子音楽ながらクラシックな要素を感じさせ、不穏な音使いでリスナーの心を落ち着かせない、不安定な雰囲気を持つ一曲。
10.Estelle – A Man Called Adam
イギリス出身のSally Rodgers(サリー・ロジャーズ)とSteve Jones(スティーヴ・ジョーンズ)によるユニット。アシッドジャズ、バレアリックハウス、チルアウト、ニューブリティッシュハウスのサウンドを主体としている。Café del Marやその他チルアウトコンピレーションシリーズでも欠かせない存在。
この曲はまさにイビサのCafé del Marを表現しているのでは。メロウな旋律とボーカルのハーモニーがこれまでの楽曲の雰囲気を一転させ、海岸へと誘い安心させてくれる。
11.On The Rocks – Obiman
イギリスのエレクトロニカアーティストであるMorgan KingとAlan Blakeのプロジェクト。チル、アンビエント、ダウンテンポジャンルをスタイルとしている。
陽気な曲から一点、また暗い雨雲が立ち込めて、風が強くなってくるような不穏さ。嵐の前の静けさのような雰囲気。心をぞよめかすような落ち着かない気持ちにさせられる。
12.Sunset At The Café Del Mar – Tabula Rasa
イギリスのギタリストJames Ribbansによる。タブララサとは、イギリス哲学者ジョン・ロックの「心は生まれたときには白紙の状態であり、すべての知識や経験はその後に書き込まれる。つまり人間の知識や性格は、生まれながらにして決まっているのではなく、経験や環境によって形成される」と主張したことによるもの。
まるで、今の今までどこかへ迷い込んでいた中、ハッと目が覚めるとCafé del Marの前のビーチでうたた寝でもしていたような曲の調べ。
次作の Volumen 2 のレビューはこちら。

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