2014年発表。3CD仕様。コンパイラーはToni Simonen。発売自体は’14年の12月。
聴き込むほどにバラエティの豊富さを感じる内容。トリップホップやプログレッシブな曲も多くディープな印象で、実験的な曲も多く見受けられる。クラブミュージックや電子音楽の新旧が混在し、なお語り継がれる名曲を再認識させられる。
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1.Amorphous Androgynous – Mountain Goat (2014)
スコットランド出身のBrian Robert Dougansと、イギリス出身のGarry John Cockbainによるプロジェクト。The Future Sound of Londonとして有名。アンビエント、テクノ、エレクトロニックをスタイルとする。
夜明けの潮風を思わせる、ディープなイントロ。ダークアンビエントを基調に、神秘と荘厳さを帯びた音の構築による開幕曲。
2.Young American Primitive – Sunrise
アメリカ出身、Greg Scanavino。テクノ、ファンクをスタイルとする。
ダークなシンセサイザーに、民族的な男性ボイスが怪しく響き、内包する力強さが溢れ出そうな印象。タイトルにある陽の昇りは比喩のようで、若さゆえの葛藤やエネルギー
を感じる作品。
3.Art Of Noise – Moments In Love (Beaten)
イギリス出身、Gary Langan、J.J.Jeczalik、Anne Dudley、Trevor Horn、Paul Morleyによるプロジェクト。前衛シンセポップグループ。’83年に発表されたデビューEPが初出。マドンナの結婚式で流された。
4.Autechre – Nine
イギリス出身、Robert John BrownとSean Anthony Boothによるプロジェクト。アンビエント、テクノ、グリッチをスタイルとする。’87年結成。’94年発表のアルバムより。
静寂漂うアンビエントに、切り取られたテクノサウンドが異質な空間を思わせ、一瞬を光り輝く火花のような刺激の中には歪みの美醜や善悪を考えさせる哲学がある。
5.Aphex Twin – Untitled 3 (Rhubarb)
アイルランド出身、Richard David James。テクノ、アシッド、アンビエントをスタイルとする。94年発表の「Selected Ambient Works Volume 2」より。収録曲のほぼ全てが『無題』であり、ファンのGreg Edenがアルバムアートワークから名付けた非公式なものが用いられている。
穏やかで冷たく、しかし優しい波の海を思わせる旋律。生死に迫るような低温に身を委ねるような心持ち。繰り返される出口のない通路。余談だが、Aphex Twinの『Richard D. James Album』のジャケットの笑顔が印象的過ぎて、曲から受けるイメージすら変わってしまいそうだ。
6.John Beltran – Gutaris Breeze(6,000km to Amsterdam)
アメリカ出身のJohn Beltran。デトロイトテクノの第一人者。
ハープのノスタルジックなサウンドとパーカッションの音色が、どこか落ち着かない気持ちを掻き立てる。それがまるで未踏の地に立たされているような印象なのだが、怖ろしさではなく、少しの哀愁を含んだ未知への勇気にも似ている。
7.Moby – My Beautiful Blue Sky
アメリカ出身、Richard Melville Hall。。エレクトロニカやアンビエント、トリップホップ、オルタナティブロックなどをスタイルとしている。’93年発表のアルバム『Ambient』より。
曲の印象から彼の見る青空を想像するに、地上から見上げるのではなく、宇宙から見下ろしているかのよう。
8.Turah – Reishi
イギリス出身、Andrew Turner。シリーズ20ではPlaid名義でクレジットされている。
Plaidの片割れであるが、しっかりとその音楽性が現れている。実験的である源流を持ちながら、どこかおもちゃのようなファニーさを感じさせるサウンド。サイケデリックなトリップと、正統派なブレイクを併せ持つ離れ業のよう。9分と長めながら、その間には短編集のような数曲が詰め込まれているような展開を持つ。
9.Ian O’Brien – Vagalume
イギリス出身、Ian O’Brien。8歳でピアノを始めた。デトロイトテクノを基調としたテクニカルジャズをスタイルとする。
非常に短い曲だが、大量の光を浴びるような神々しさを感じさせる。夜明けの光を思わせる音の波粒を体感でき、幸福感に満ち溢れるだろう。
10.Detroit Escalator Co. – The Inverted Man Falling
アメリカ出身、Neil Ollivierra。名前の通り、デトロイト生まれ、テクノを主とし、アンビエントやフューチャージャズをスタイルとする。
緩やかなアンビエントテクノ。浮遊感や陶酔を織り交ぜながら、その実、サウンドドラッグとして中毒症状を起こさせる。
11.Wim Mertens – Struggle for Pleasure
ベルギー出身、Wim Mertens。歌手、ピアニスト、ギタリストであり音楽学者。’83年発表曲。シリーズ5に『Close Cover』がクレジットされており、この2曲は非常に有名。クラシック、アンビエント、ミニマルをスタイルとする。
鍵盤と弦の音色が美しさの極致を表現する。クラシックな風靡を持ちながら、モダンで大胆な展開。心に訴えかける旋律は攻撃的ですらある。
12.Constance Demby – Waltz Of Joy
アメリカ出身、Constance Mary Demby。ミュージシャンであり、画家、彫刻家など多才な女性。ソニックスティールスペースベース、ホエールセイルという楽器の制作でも知られている。’21年に心臓発作の合併症により81歳で亡くなった。
楽しげで洒脱な舞踏を演出するような優美さが、これもまた天上の音楽はかくあるのだと思わせる。
13.Steven Halpern – The Light In Your Eyes
アメリカ出身、Steven Halpern。ニューエイジをスタイルとする。ニューヨークにてトランペット、ギター奏者としてジャズに携わっていたが、ジャズに幻滅?し、カリフォルニアに移ってからはリラクゼーションに傾倒した。’13年に発表したアルバムでグラニー賞の最優秀ニューエイジアルバムにノミネートされた。
汚れのない和音(イマキュレート)による、静謐な海洋を思わせるムードを醸している。夕日が溶け込む海面を眺め、余計な音を削ぎ落とした曲に合わせて瞑想世界へと誘われる。
14.John Williams – Cavatina (Theme from the Deer Hunter)
オーストラリア出身、John Christopher Williams。クラシックギタリスト。’73年にグラミー賞の最優秀室内音楽賞を受賞している。「世界で最も技術的に熟達したギタリスト」と評された。クラシック、プログレッシブ・ロックをスタイルとする。作曲はイギリス出身のStanley Myers。
優しいギターの音に、悩みや憂いをほんの少しの間だけ忘れさせてくれる。その牧歌的なムードはおよそダンスアイランドに似つかわしくはないが、住む者、訪れる人それぞれの故郷を想わせるだろう。
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