2014年発表。2CD仕様。コンパイラーはToni Simonen。トリップホップやシネマティックアンビエントが多くなり、非常に穏やかな内容ながら、どこかシックで危うい陶酔を感じさせる。
*このページは広告を含みます/このサイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
CD1
1.Nightmares on Wax – So Here We Are
イギリス出身、George Herbert Evelyn。初期のシリーズ3では自身の楽曲、ほかリミックスでも参加している。
お得意のスムースジャズ、トリップホップに包まれる。スモーキーな音像の代表格とも言える存在。開始50秒あたりから広がるナイトラウンジのジャジーな雰囲気が、煙に乱反射する光を魅せてくれる。
2.Goldfrapp – Jo
イギリス出身、Alison GoldfrappとWill Gregory。グラムロック、エレクトロクラッシュといったスタイルを持つ。収録アルバム『Tale of Us』に、短編映画の登場人物の名前としてこの『Jo』をはじめクレジットされている。’22年にはそれぞれソロとして活躍しているが、グループとしての活動は休止中である。
不穏さと寂しさを湛えた一曲。Goldfrapp特有の凍りついた春のような空気感に静寂が漂い、美しさと恐怖が混在したメロディラインを構築している。
3.Seahawks feat. Tim Burgess – Look at the Sun
イギリス出身、Jon Tyeとウェールズ出身Pete Fowler。Pete Fowlerはイラストレイターとしての活躍が主軸で、傍でDJをしている。ボーカルに同じくイギリス出身のTim Burgess。
時代のトリップと交錯を感じさせる。メロディは近代的ながら、少しオールディーズを感じるボーカル。緩やかなサックスが、静かな海辺に響き渡る。
4.Nick Et Samantha – On the Beach
イギリス出身でギタリストのNick Cornuと、スコットランド出身のポストフォークミュージシャン、Samantha Whatesによるプロジェクト。Chris Cocoも参加している。本曲はイギリス出身、Chris Reaの1986年発表『On the Beach』のカバー。原曲はソフトロックで、ほのかにジャズやソウルを感じさせる。
原曲にバレアリックなボサを溶かし込み、非常に洗練された作品へと仕上げられている。Samantha Whatesの静かで艶やかな歌声が非常にムーディー。ストレートなリラックスミュージックに仕上げながら、Café del Marの世界観の屋台骨を担っている。
5.Rae & Christian Feat. Gita Langley – Still Here
イギリス出身のMark RaeとSteve Christian。エレクトロニック、トリップホップ、ジャズを基調としながら「何でもあり」をスタイルとしている。シリーズ6以来の登場。ボーカル担当にGita Langley。
ピアノのロマンティックなイントロに、Gita Langleyの若々しい歌声。ビートに乗ったそのポップな歌声には、自然なハリツヤがあり、気分を持ち上げてくれる。
6.Quantic – Painting Silhouettes
イギリス出身、マルチ楽器奏者のWill Hollando。シリーズ9で登場。トロピカル、クンビア、サルサなどをスタイルとする。the Quantic Soul Orchestraとしても活動しており、バンドメンバーには妹のLucy Hollandもサックス奏者として参加している。
男性の囁くボーカル、コーラスが穏やかで心地よい。小春日和のような柔らかい温かみのあるメロディが穏やかなひと時を感じさせる。
7.Penguin Café – Solaris
イギリス出身、Arthur William Phoenix Young Jeffes。前身であるPenguin Café Orchestraは’94年のシリーズ1に登場し、’97年にはリーダーのSimon Jeffesが脳腫瘍で亡くなっている。’09年に息子のArthur Jeffesがメンバーを新たに10人編成のPenguin Caféを始動。
軽やかなピアノのイントロに、わずかな寂しさを織り交ぜたメロディ。オーガニックなサウンドが牧歌的な風景を描き、心を和ませる。
8.Henrik Schwarz – Unknown Touch
ドイツ出身、Henrik Schwarz。アシッドジャズ、ソウル、ファンクをスタイルとする。’11年には、シリーズ6にクレジットされたBugge Wesseltoftとのデュオを組んでいたことも。
イントロのややスロウなギターサウンドが心を震わせ、悲哀を帯びた弦楽器やピアノの複雑な絡み合いがドラマティック。スパニッシュな情熱と憂いを内包した一曲。
9.Moby with Cold Specks – A Case for Shame
アメリカ出身、Richard Melville Hall。アルバム『Innocents』より。ボーカルはソマリア系カナダ人、Ladan Hussein(Cold Specks)。Cold Specksは’17年に精神を病み活動を休止するが、家族や友人の助けで治療を続け、’24年に本名でシングルを発表し復帰を果たしている。バックボーカルはInyang Bassey。
Ladan HusseinのウィスパーなボーカルとMobyのダウンテンポが融合し、夜のムード漂うラグジュアリーな曲調。そしてどこか、古いラジオを想起させるノスタルジックさをくゆらせている。
10.M83 – Holograms
フランス出身、Anthony Gerard Gonzalez。M83はメシエ83という渦巻銀河の名前。2013年公開の『You and the Night』という映画のサントラの一つで、映画の監督は実兄のYann Gonzalezが務めている。映画自体はエロティックコメディドラマだそう。元MAN Uのサッカー選手エリック・カントナが出演。
映画は観ていないので評価はできないが、音楽はシネマティックで期待感を高める。曲自体はエレクトロニックサウンドで近未来感を持ちながら、どこか抒情的でもある。
11.Sébastien Tellier – Hypnose
フランス出身の歌手・マルチ楽器奏者、Sébastien Tellier。フレンチポップ、ニューウェーブをスタイルとする。彼の祖母の死に触発されたという、5枚目のアルバム『Confection』より。
ノイジーなビートが目眩のようなトリップ感を生み、奇妙な陶酔感をもたらす。歪んだ幸福感が揺らめく。
12.M83 – Lower Your Eyelids To Die With The Sun
フランス出身、Anthony Gerard Gonzalez。’05年発表のアルバム『Before the Dawn Heals Us』収録で、10分にわたるアンビエントポストロックインスト。このアルバムのテーマは自動車事故であり、最後の収録曲であるこの曲のMVでは、登場人物(?)が死んだ後に星雲へ昇っていくらしい。
M83らしい、宇宙的な広がりや壮大なスケール感のある曲。爽やかでいてオーケストラのような盛り上がりをもつため、やはりサンセット時に聴いてもしっかりとマッチしそう。究極のチルアウトは、臨死体験にも似ているのだろうか?
CD2
1.Tom Middleton – Sea of Glass (Jon Hopkins Remix)
イギリス出身、Tom Middleton。作曲家であり、睡眠のための科学的根拠に基づいたクリエイター活動にも勤しんでいる。リミックスはイギリス出身、Jonathan Julian Hopkins。
エレクトロニックアンビエントとどこかサイケデリックさが混じり合った曲。ノンビートで進行し、やがて波紋のように広がる光の粒が迫る感覚に包まれ、ビートとシンセサウンドが恍惚感を抱かせる。
2.Trafik – Perfume Suite
イギリス出身、Andrew ArcherとJohn Elliott。映画音楽やドラマ音楽制作、リミックスワークを手がける。
宇宙や星の輝きを想起させるサウンドスケープ。日没後の暗くなる時間帯に溶け込み、非常にゆったりとした雰囲気を生み出す。シネマティックな要素もあり、幻想的な夜空やライトアップされた風景を思わせる。
3.Synkro – Memories of Love
イギリス出身、Joe McBride。ダブステップ、ツーステップをスタイルとする。
緩やかなダウンビートに、アンビエントサウンドや楽器を思わせるボイスが印象的に響く。この曲もまた、夜を思わせるムードを持ち、どこか官能的でもある。
4.Plaid – Hawkmoth
イギリス出身、Ed HandleyとAndy Turnerのデュオ。エレクトロニカ、ハウスやヒップホップに影響を受け、のちには映画音楽も手掛けている。
ファニーなメロディが特徴的で、どこかサイケデリックな世界に囚われるような感覚。または機械的で、ロボットが演奏しているような風景さえ思い浮かばせる。
5.Lux – Head Centre
イギリス出身、Steven Gordon MillerとJames Bright。
従来の煽るようなまでのバレアリックサウンドはほとんど鳴りを潜め、このシリーズ20ならではの宇宙的な感覚を注入するような音使い。だが中盤のギターの旋律が、やはりビーチサイドへと誘い出してくれる。
6.Gelka Feat. Phoenix Pearle – Flying Clouds
ハンガリー出身、Csaba KürtiとDömötör Sándor。ボーカルはイギリス出身、 Phoenix Pearle(Sara Garvey)。
可愛らしいボイスに、浮遊感のあるサウンド。少し重たげな楽器の音使いが、このシリーズ20にあっては地に足をつけて空を見上げている感じがある。輝きすぎない夜空や、時折見える夜間飛行の光が心に映る。
7.Faithless – North Star
イギリス出身、Maxi Jazz(Maxwell Alexander Fraser)、Sister Bliss(Ayalah Bentovim)、Roro Armstrong(Rowland Constantine O’Malley Armstrong)。
冒頭から心地よいビート。ややダークな雰囲気を持ちながら、理路整然としたサウンドを感じる。Sister Blissのスモーキーなボーカルが感情を掻き回し、Maxi Jazzのラップが温かく沁み入る。そしてサウンドが、渦巻きのような電子の坩堝へと吸い込んでくる。
8.Morcheeba – Under the Ice
イギリス出身、Skye Edwardsと、PaulとRoss Godfreyの兄弟。トリップホップ、フォークロック、ダウンテンポをスタイルとする。この年にPaul Godfreyは脱退している。
スタイル通りのフォークソングが主体。スパニッシュギターをエッセンスに、ボーカルが哀愁でなはく望郷に近い感覚を抱かせる。落ち着きの中にも、溢れる熱がエネルギーを感じさせる。
9.Alex Barck Feat. Jonatan Bckelie – Doubter
ドイツ出身、Alexander Barck。エレクトロニック・ニュージャズ界の大御所グループであるJazzanovaの一員。テクノ、ディスコ、ヒップホップ、ジャズなどをスタイルとする。ボーカルはスウェーデン出身でErnesto名義でも活躍するJonatan Bäckelie。父親が牧師で、聖歌隊にも所属したいた。
一聴すると女性の声かと聴き紛う美しい声質のJonatan Bäckelie。曲調は静かな闇の中のようで、だが非常に透明感のある黒さが浮かび上がるよう。ジャジーなピアノサウンドやドラミングが繊細で、非常に心地よい。
10.Boards of Canada – Reach for the Dead
スコットランド出身、Michael Peter SandisonとMarcus Eoin Sandisonの兄弟によるデュオ。サイケデリック、アンビエント、トリップホップをスタイルとする。Orbitalとの比較を防ぐために、デビューから10年ほどは兄弟であることを隠していたという。
イントロは曲ともつかないノイジーなアンビエントサウンド。そして次第に重なり合うサウンドが、熱と冷が交錯するような相反する世界観を構成する。
11.Moby – Everything That Rises
アメリカ出身、Richard Melville Hall。アルバム『Innocents』より。
イントロはとてもクセのあるヒネたサウンド。そしてメランコリックなメロディ。奇妙な雰囲気を持ちながら、気がつけばそれらを飲み込んだシンフォニーが波や風のように体をくすぐる。
12.Hybrid – Finished Symphony (Soundtrack)
イギリス出身、Mike Truman、Chris HealingsとC.James(Charlotte Truman?)。プログレッシブ・ブレイクビーツやテクノ、ハウスをスタイルとする。オーケストラパートはロシア連邦管弦楽団により演奏され、指揮はSacha Puttnam。
締めに相応しい壮大な曲・・・そして完成された曲である。非常に高い人気を誇り、さまざまなコンピレーションにもクレジットされている。微かにプログレッシブっぽさを残す。
コメント