2015年発表。2CD仕様。コンパイラーはToni Simonen。よりディープな世界観を持ちながら、新しい顔ぶれも目立つ。ジャケットの華やかさとは裏腹に、集められた楽曲は精神的な世界を潜るような曲調が多い。
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CD1
1.Kinobe – Slip Into Something More Comfortable (Played Live Mix)
イギリス出身、Julius WatersとDave Pemberton。KinobeはJulius Watersが中心となり、結成時での相方はMark Blackburn、その後’04年からDave Pembertonに代わり、’17年にChuck Normanへと代わっている。原曲はEngelbert Humperdinck(本名Arnold George Dorsey)が1968年に発表した『From Here to Eternity』をサンプリングしたもの。
非常にのんびりとした曲調がラジオから流れてきているようで、どこか郷愁と退屈を交えた感覚を覚えさせる。CD1においては異色な曲。原曲はメロディアスで素晴らしく、そして別にあるボーカルバージョンも素晴らしいのに、なぜインストバージョンを収録したのか・・・。
2.Nev Cotte – If I Could Tell You
イギリス出身、Nev Cotte。’15年発表の2ndアルバム『Strange News From The Sun』から。ワールド、アンビエントといったスタイルを持つ。
メロディアスなダウンビートに溶けるような、本人によるバリトンのボーカルが印象的。重いほどに落ち着きのある曲とボーカルが、聴衆を精神世界へと深く没入させていく。落ち着きの中に、どこかハーブティーのようなさりげない華やかさを感じさせる。
3.Nautic – Freedom of the Floor (Open Space Remix)
イギリス出身、Laura Groves、Nathan Jenkins、Timmaz Zolleynによるプロジェクト。バレアリック、インディーポップをスタイルとする。Laura Grovesがボーカルを担当している。リミックスを担当したOpen Spaceは、SadeのキーボーディストであるAndrew Haleと、Apiento名義でも知られるPaul Byrneによるプロジェクト。
オリジナルでは透明感のあるボーカルにやや明るい曲調。リミックスバージョンの曲調はさすがシャーデーを感じさせるスモーキーさやダウナーな仕上がりとなり、艶やかさを増して聴き手を引き込んでいく。
4.Atlantic Ocean – Waterfall (Slow 2 Lounge Mix)
オランダ出身、Lex van Coeverden、René van der Weijdeによるデュオ。ハウス、トランスをスタイルとする。原曲は’93年に発表。
原曲はアップテンポで、印象的なカチャカチャとしたメロディを奏でるハウス。その象徴的なフレーズを切り取り、ラウンジ調にミックスしているが、正直どんなシーンで聴くのが良いのか判断がつきかねる、飛び道具的な選曲。
5.Caia – Heavy Weather
イギリス出身、Andy Cato(Andrew Derek Cocup)と、日本人マイク・タカハシによるプロジェクト。Andy CatoはGroove Armadaの片割れであり、シリーズ3ではBeat Foundationのメンバーとしても登場している。’98年にAndy Catoが来日した際に意気投合したという。Café del Mar 35th ANNIVERSARYからの登場。’03年に発表した同アルバム『Magic Dragon』からのクレジット。この曲ではMarvin Gayeの『Inner City Blues(Make Me Wanna Holler)』をサンプリングしている。
パーカッションが下支えする特徴的なノリを生み出し、ゆったりと高揚を感じさせる。『La Telecabine』で感じさせる直接的・攻撃的な音づかいとは異なり、湿潤で鬱蒼とした雰囲気ながら、心地よい時間の漂いを感じる。
6.Waldemar Schwartz – La Taza De Oro
スウェーデン出身、Bogdan Irkük(本名Måns Swanberg)によるプロジェクト。「Bulgari」名義でも活動している。’14年発表の本作はヌーディスコをスタイルとしている。
珍しいキラキラのディスコスタイルのリズムが、どこか大人の余裕を感じさせる。ビーチサイドの男女が夏の太陽を受けて踊っているような、夜を彩る7色のライトが眩いような、気分を持ち上げてくれる曲。
7.Pig & Dan – Friday Freaks
イギリス出身のDan Duncanとスペイン出身のIgor Tchkotouaによるプロジェクト。Dan Duncanの父親はスコットランド出身のサックス奏者のMalcolm Duncan。Pig & Danの2人はスペイン行きのフライトで出会う。その2年後に再会し音楽活動を始めた。ドラムンベースやバレアリックハウスをスタイルとする。
前曲とは一転し、アダルトなムードが溢れんばかりに薄暗いラウンジに響いているよう。どこかエロティックでありながら、退廃的な香りが、危うさと魅惑が同居する背徳的な空間を思わせる。
8.No Logo – Ancestral Melody
イギリス出身、Pete GoodingとSteve Millerによるプロジェクト。Pete Goodingは10年間Cafe Mamboの専属DJを務めていた。シリーズ18、19からの登場。
落ち着いたクラシカルなピアノサウンドに、それに相反するような情熱の入ったボイスやパーカッションが絡み合い、熱く静かで特別な夜を感じさせる。
9.Ganga – Time Spent
デンマーク出身のChristian Rønn。シリーズ18にクレジット。アンビエント、ダウンテンポをスタイルとする。
およそデンマークと対照的なイメージでもあるスパニッシュな旋律が、秘められた情熱と隠しきれない不安感を刻み込み、その揺らぎの中に官能の火を灯させる。
10.James Bright - Siempre
イギリス出身、James Bright。バレアリック、ニューディスコ、ディープハウスがスタイル。AfterlifeのSteve Millerとのプロジェクト、Luxとしても活躍している。
スパニッシュギターとアンビエントの絡み合うバレアリックサウンドが気持ちを昂らせ、古き良き情感やどこか懐かしさを抱かせる。海を見下ろす古い街中にあって、日常と非日常が目まぐるしく交錯するよう。爽やかなジンジャーエールを片手にくつろぎたくなる。
11.Tommy Awards – Hotel Odemark
スウェーデン出身、Tommy LindskogとHenrik Stelzerによるプロジェクト。アンビエント、クラウトロック、サイケデリックロックをスタイルとする。
夕暮れのホテル前のビーチで、至福のひと時を演出してくれる旋律。日没を彩り、その日1日を思い切り楽しんだ体を癒すかのように、静かに包んでくれる。紅の空が滲み、紫に、そして青黒くへと変化する様をまざまざと思い起こさせる。
12.The Broken Orchestra – Over & Over (feat. Natalie Gardiner)
イギリス出身、Pat DoonerとCarl Conway-Davisによるプロジェクト。ダウンテンポ、トリップホップ、ソウルをスタイルとする。ボーカルを担当するのはスウェーデン出身のNatalie Gardiner。
派手さはないが、美しいボーカルと旋律が胸に響く曲調。海風を浴びながら浜辺を歩き、思索に耽りたくなる。CD1のクライマックスと言っていいだろう。そのささやくような歌声に魅了されてしまう。
13.Inventions – Slow Breathing Circuit (A Winged Victory for the Sullen Remix)
アメリカ出身、Matthew Robert Cooperとギタリストで「Exprosions in the Sky」のメンバーであるMark Thomas Smithからなる、サイドプロジェクト。同じくアメリカ出身であるA Winged Victory for the SullenのDustin O’Halloran(ピアニスト、映画音楽家)とAdam Bryanbaum Wiltzie(映画音楽家)がリミックスしている。
まさに映画音楽らしい、壮大な幕引き曲となっている。曲中に無音になるような間があるが、その間は波音やざわめきといった、その場の環境音を意識した作りになっているのだろう。深淵な海や遠大な宇宙を思わせる作曲と、その場のアンビエントの融合を感じさせる。
CD2
1.Flako – Gelis
ドイツ出身、Dario Rojo Guerra。チリの血筋を継いでいる。アンビエント、ビートミュージック、民族音楽をスタイルとする。
緩やかな音の湾曲を感じさせ、押しつけがましくない民族的情緒を織り込んでいる。有機的な音色とアンビエントの融合により、不思議な世界への誘いを感じさせる。定かではないが、『Gelis』がトルコ語ならば「到来」や「訪れ」を意味している。我々が音の世界へ入り込むのか、それとも音の世界が扉を開くのか・・・。
2.Isan – Gymnopédie No. 1. (Lent Et Douloureux)
イギリス出身、Antony Christopher RyanとRobin SevilleからなるIsanは”Integrated Services Analogue Network”を意味している。原曲は知らぬ人はいない、エリック・サティの『Gymnopédie No.1(Lent Et Douloureux)』。
これまでも何度となくミックスされ収録されてきた本曲は「家具の音楽」という概念がアンビエントやチルアウトの概念と深く結びついているゆえに欠かせないのだろう。さらに2分半という短い時間にその曲の精髄だけを切り取り、まるで間奏曲やつなぎ目のようでありながら、その存在を強く感じさせる。
3.Deeb – Rooftops
オランダ出身、Danny van den Hoek。トリップホップやローファイジャズ、アンビエントをスタイルとする。
滑らかでジャジー。夏の屋上での、体を冷ますようなひと時を演出する。おしゃれでありながらどこか官能的な雰囲気をもち、ラグジュアリーな気分に浸らせてくれる。
4.Synkro – Distant Eyes
イギリス出身、Joe McBride。ガラージ、ダブステップ、アンビエントをスタイルとする。
落ち着いたトリップとでも言うべきか、仄暗くはあるが瞑想的でどこか探究的でもある印象。霧の中や水中を漂うような、少し冷ややかな湿度すらも感じさせる。揺蕩いながら、
5.Himalia – So Long Ago…
イギリス出身、Davee Hinmanによるプロジェクト。スタイルはエレクトロニカ、ダウンテンポ、UKガラージ。
暗い雲の多い景色を想像してしまうような、ダウンな印象。しかし音使いは非常に繊細で、目を閉じ意識を傾けると、自分を形作る輪郭が溶けてしまいそうな印象すらある。そして見上げると、水面から差し込む光を感じる。
6.Farbror Resande Mac – Stockholmsnatt
スウェーデン出身、そのメンバーは匿名のプロジェクトとして活動しているらしい。ダウンテンポ、アンビエントをスタイルとする。名前はスウェーデン語で「旅するマックおじさん」。
陽が沈み、灯りが立ち並ぶ夜景を思わせるムーディーな曲調。ストックホルムの夜を描いており、そこにはリゾートのラグジュアリーさを感じさせる。色気のある滑らかなサックスが艶かしい夜へと誘ってくる。
7.Compendium – Brandnew Start
ドイツ出身、Andreas Bruhnによるプロジェクト。エレクトロニック、ジャズ、ポップスのスタイルをもつ。
エレクトロニカな曲調にポップなボーカルが加わり、軽快な音調。音の世界に深く入り込むというよりもお酒を片手におしゃべりにも花が咲かせるためにバックグラウンドで流しておくのがちょうど良さそう。賑やかな都会にあるリゾートでのひととき。
8.Asura – Raindust
フランス出身、Charles Farewell、Christopher Maze、Alex Ackermanによるプロジェクト。’03年発表のアルバム「Lost Eden」より。’05年にはCharles Farewellのソロプロジェクトとなっている。アンビエント、ダウンテンポをスタイルとする。
女性の特徴的なボイスが力強く、曲を牽引している。曲は宇宙的な悠久さや、一転、中東を思わせる民族感を持ち合わせ、浮遊感のある自由さを奏でており、湿度の高い蒸し暑さの中に吹き込む、清々しい風をも思わせる。
9.Phil France – The Swimmer
イギリス出身、Philip Jonathan France。来歴ではJason SwinscoeらとのプロジェクトであるCinematic Orchestraが非常に有名。’13年に『The Swimmer』でソロデビューした。アンビエントやモダン・クラシカルをスタイルとする。
映画のワンシーンのような、雑音を排した水面を泳ぐようなスムースさを感じさせながら、何かの物語が始まるための序曲でもあるかのような印象。
9.Raffaele Attanasio – Der Himmel U-Ber Berlin (Solo Piano Version)
イタリア出身、Raffaele Attanasio。クラシックとテクノを融合させるスタイル。タイトル通り、Wim Wenders の映画『ベルリン・天使の詩(Der Himmel über Berlin)』をオマージュしているという。
クラシカルかつエネルギッシュなピアノの旋律が心を奪う。オリジナル版はかなりテクノ色の強い作品であるが、こちらは曲の別の性格を際立って表している。生き別れ、全く違う環境で育ってきた双子のような性格を思わせる。
10.Yosi Horikawa – Stars
日本人アーティスト、堀川洋司。嬉しいことにCafé del Marにまた日本人がクレジットされた。独学の自然音サウンドデザイナーとして、’10年にフランスでデビュー。’11年にはRed Bull主催のミュージックアカデミーに参加。2019年には、イギリス・ガーディアン紙などからBest Album of 2019を獲得した。後年に当たるCafé del Mar関連作「The Sound of Café del Mar」(’17年発表)にもクレジットされている。
自然音で取り巻く世界を全身で知覚できる体験。そのさまざまな音から、温度や匂いを感じ取るかのような錯覚さえ覚えさせられる。そしてまた、登っているのか、落ちているのか。進んでいるのか、引き戻されているのか。前後不覚な深淵に身を包まれるような感覚。だが見上げると、たくさんの光がある・・・。
11.Thomas Prime – Breakfast (ft. James Rose)
イギリス出身、Thomas Prime。ジャジーヒップホップなどのスタイルを持つ。ボーカルはアメリカ出身のJames Rose。この曲は日本人アーティストのNujabesの曲『Feather』へのトリビュート作品。
センシティブなイントロ、そして激しさと緩やかさが同居するドラマティックな展開。扇情的でありながら嫌味のない曲の流れが心地よく、風や波に包まれて運ばれていくようなイメージを抱かせる。
12.Gelka – Million Nights(Synkro Remix)(ft.Phoenix Pearle)
ハンガリー出身のCsaba KürtiとSándor Dömötörのデュオ。25周年記念版やシリーズ13から定期的に登場し、高品質なチルを提供している。ボーカルはイギリス出身、 Phoenix Pearle(Sara Garvey)。リミキサーは今作CD2の4曲目にクレジットされている、イギリス出身のSynkroことJoe Mcbride。
Gelkaらしい高品質な曲であり、リミックスによってもその価値は保たれている。原曲はまだ夜の街を散歩しているような気になるが、Synkroのリミックスにより、もっと田舎のような、星明かりがくっきりと見える静寂の中を歩いているような気にさえなる。
13.Pensees – She (CDM Edit)
ロシア出身のSergey PrudiyとVlad Sidorkinによるプロジェクト。ダウンテンポ、アンビエントをスタイルとする。
どこかシネマティックで退廃的な雰囲気をもち、その退廃さの中に不思議な優しさやしなやかさを感じる。指先や頬を撫で上げる、暖かそうでいて非常に冷たい感触。
14.T_Mo – La Ritournelle (CDM Edit)
イギリス出身、Timo Garcia(Timothy Nolan Belcher)によるプロジェクト。ダウンテンポ、トリップホップ、またはテックハウスやディスコスタイルでは名義を使い分けている。原曲はフランス出身のSébastien Tellierの『La Ritournelle』。
ほとんど改変のない曲調に、尊敬の念を感じさせる。セクシーに鳴り響くピアノのリフが、世界中を虜にする希望の輝きであることを確信させる。

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