1995年発表のシリーズの第2作。CDのジャケットは泡や細胞のようで、シャワーのようにCafé del Marのタイトルが降り注いでいる。
なんと1曲目から日本人アーティストによる楽曲。José Padillaによるコンパイルは、特にCafé del Marシリーズ初期作ほど実験的である。曲同士での統一感はなく、それぞれが非常に個性的である。それらをまとめ、一つの壮大な作品に仕上げ、チルアウトという裾野を広げているからこそ成長するのだろう。
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1.Silent Poets – Moment Scale (Dub Master X remix)
いち早くCafé del Marにピックアップされた日本人アーティスト。現在は下田法晴のソロプロジェクト(元相方は春野高広)。アシッドジャズやダウンテンポをスタイルとする。リミックスを務めたDub Masterも日本人である宮崎泉によるプロジェクト。
美しく切ないメロディーが特徴で、José Padillaの選曲眼を改めて実感させられる作品。Calmの曲に似た印象を受ける旋律が、心に響く。他、多くのコンピレーションアルバムにも収録されるほどの人気作。
2. Psychedelic Research Lab – Tarenah(Chill Mix)
アメリカ出身のJOHN SELWAYとSCOTT RICHMONDからなるプロジェクト。NY州
北部の音楽学校で出会い結成された。やがてJosé Padillaの目に留まり、彼が何度もこの曲をプレイしたことを受け本アルバムに収録された。
ややサイケデリックでアップビートだが、Chill Mixされた曲調が、夕暮れ直近まで遊び泳ぎ疲れた体に心地よく染み渡る。
3.D*Note – D*Votion
ロンドン出身のマット・ウィンらによるエレクトロバンド。フランス・イギリスのクラシックやモード・ジャズの影響を受けている。
曲調は、Chicaneの『offshore』やA Man Called Adamを足したような典型的なバレアリックサウンドを感じさせ、シリーズの中でも重要な位置を占めている。徐々に盛り上がる多幸感と、ブレイクし落ち着く瞬間のある展開が非常に心地よい。シンセサイザーの電子的音楽が、民族感のある笛の音と調和し、眼前に広がる海を感じさせてくれる。
4.A Man Called Adam with Eddie parker – Easter Song
イギリス出身Sally Rodgers(サリー・ロジャーズ)とSteve Jones(スティーヴ・ジョーンズ)のAMCAが再登場。ジャズ・フルート奏者Eddie Parkerを迎えている。
雰囲気は前作に似て、非常にメロディアスで、イビサの豊かな時間を存分に表現している。ジャジーなフルートが可愛らしさとライブ感を演出している。
5.Paco De Lucia – Entre Dos Aguas
スペイン出身、世界的に有名な天才フラメンコギタリスト、Paco De Lucia。2014年に彼は亡くなったが、なんと2024年の2月にパコ11歳・兄のぺぺ13歳頃の未発表曲が見つかったという。
スペインの熱い血がたぎるかの如く、そのギターの音色と旋律には耳を奪われることだろう。まさしくスペインが情熱の国であることの証明だ。
6.Marc Antoine – Unity
フランス・パリ出身のスムースジャズギタリストのMarc Antoine。スムースジャズ、ラテンジャズ、フュージョンを掛け合わせたスタイルを持つ。
まさしくジャズフュージョンであり、爽やかなchillout仕様。パラソルの下や波打ち際でドリンクを飲みながら聴きたい曲。情熱的なギターとはまた一味違い、フランスらしい洗練された雰囲気が漂う。
7.Jose Padilla – Sabor De Verano (The Way Out West Mix)
コンパイラーJosé Padillaの曲を、イギリスのエレクトロニックデュオWay Out West(Nick WarrenとJody Wisternoff)がミックス。
プログレッシブ、トランス畑の彼らがミックスしているので、クラブミュージック寄りのアレンジが施され、プログレッシブなサウンドが特徴的。ところでこの笑い声はJosé Padilla自身なのだろうか? そんな想像だけでもニヤリとしてしまう。曲の雰囲気的には、夜の街に繰り出すために少し気分をあげたい時に良さそう。
8.Salt Tank – Sargasso Sea
イギリス出身のDavid GatesとMalcolm Stannersによるデュオ。かつてはAndy Roseも参加していた(パーカッショニスト兼ボーカリストだった彼は、2012年11月に癌の闘病の末に逝去)。
主にテクノ、トランスなどを制作しているが、本曲やAngels Landing(José Padilla mix)のようにまさしくチルアウトな曲が有名だろう。サルガッソ海は北大西洋の西部に位置する海で、透明度が非常に高く、海面に浮いている舟がまるで宙に浮いているように見えるほどで有名。そんなサルガッソ海に漂うような感覚を呼び起こす曲調で、ウミネコの鳴き声や波の音が聴く者をを包み込む。
9.Mark’s & Henry’s – Jill (The Making of…)
Mark LobensteijnとHenry Koekenbergのプロジェクト。
前曲からの流れが非常に自然で、まだ海面を漂っているような感覚に陥る。強い日差しがキラキラと輝き、音楽以外には波の音しかしないような空間。静かにひとり目を閉じ、物思いにふけり、ともすれば眠ってしまいそうになる。
10.Ramp – Everybody Loves The Sunshine
アメリカ・オハイオ出身のソウル・ジャズバンドのRamp。メンバーは解散・再結成などを経ているが、主にKia Bennett、Desiree Jordan、Sharon Matthews、Sibel Thrashe(’20故)、Lany Shores、Nate White(’21故)、Johnny Manuelら。有名なジャズ・ヴァイブラフォン奏者のRoy Ayersがプロデュースを手がけている。この曲はエアーズのカバー。
ディスコライクでややダウンテンポ。陽が沈んだ後の、夜が来る雰囲気が似合いそうな一曲。それでも街はまだ明るく、これから繰り出すための散歩をしているよう。
11.Deadbeats – Feel Good
イギリス・ノッティンガム出身で、ヒップホップやダウンテンポをスタイルとするDamian StanleyとDavid Estellaによるデュオ。
持ち前のヒップホップスタイルが前面に出ている作品。N.O.W.が手がけるコンピレーションにも参加しているためか、同種のややスモーキーなトリップホップも感じられる。
12.The Metaluna Mutant – Blinky Blue Eyed Sunrise
カナダ出身、Mike Woodによる楽曲。
複合的な音、特にロボットのような機械的通信のやり取りを感じる。発達した未来的でありながら、出てくるのはかつて想像したようなブリキロボのような・・・そんな曲調。妙にノスタルジックな一面もあり、不思議な違和感を覚える。
13.Sabres of Paradise – Haunted Dancehall
イギリス、アンドリュー・ウェザーオールらによるSabres of Paradise。この曲は’07にガーディアン誌の「死ぬまでに聴くべきアルバム1,000」のうちにランクインした。
シリーズ1の収録曲と雰囲気はガラッと変わり、タイトル通りのホラーテイストのある曲調。ミラーボールは回っているのになぜか誰もいない。なのに、気配はする・・・そんな光景が目に浮かぶ。まるでヒッチコック映画のような緊迫感があり、恐怖の断片が忍び寄る。クラシカルな曲調だが・・・これはチルアウトできるのか・・・? しかしシリーズ2の締めくくりとしても、1枚のアルバムとしては一貫性のある締めくくり。余談だが、サーベルオブパラダイスと読む。Saberじゃないの? と思ったら、イギリス英語ではSabreのようだ。
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