Café del Mar 35th ANNIVERSARY(1980-2015)①

音楽/Music

2014年発表。3CD仕様。コンパイラーはToni Simonen。発売自体は’14年の12月。
聴き込むほどにバラエティの豊富さを感じる内容。トリップホップやプログレッシブな曲も多くディープな印象で、実験的な曲も多く見受けられる。クラブミュージックや電子音楽の新旧が混在し、なお語り継がれる名曲を再認識させられる。

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1.Cagedbaby – Marmalade

イギリス出身、Thomas Gandey。バレアリック、ブルーアイドソウル、ディスコをスタイルとする。

アルバム全体のイントロとして、静かで優しい語り口のように流れ出す。繊細なピアノの音色が可憐なダンサーのシルエットを映し出し、その研ぎ澄まされた手足の動きに魅了される感覚を抱かせる。

2.Kid Loco – A Grand Love Theme

フランス出身、Jean-Yves Prieur。アシッドジャズ、トリップホップ、ダウンテンポをスタイルとする。

メロディアスなジャズの気品とトリップホップのスモーキーさを持ち、洒脱なフレンチさも織り込んでいる。聴き手を焦らす曲調に酔わせられ、期待の高まりを感じずにはいられない。

3.Quantic – The 5th Exotic

イギリス出身、マルチ楽器奏者のWill Hollando。。トロピカル、クンビア、サルサなどをスタイルとする。the Quantic Soul Orchestraとしても活動しており、バンドメンバーには妹のLucy Hollandもサックス奏者として参加している。

夜への楽しみを掻き立てる陽性のグルーブ。どこか根アカな曲が、憂鬱さや気だるさを微塵も感じさせず、気心置けない仲間との会話が弾むように、輝く夜を満喫できそうだ。

4.Caia – La Telecabine

イギリス出身、Andy Cato(Andrew Derek Cocup)と、日本人マイク・タカハシによるプロジェクト。Andy CatoはGroove Armadaの片割れであり、シリーズ3ではBeat Foundationのメンバーとしても登場している。’98年にAndy Catoが来日した際に意気投合したという。おそらくTangerine Dreamの『Love On A Real Train』がベースになっている。

Beat FoundationやGroove Armadaに共通する脈絡をしっかりと感じさせる、美しい旋律が心を打つ。ダンサブルでありながら陶酔させるピアノのメロディ、そして海風を感じさせるパーカッションに感動を覚える。

5.Tom Middleton – Astral Projection

イギリス出身、Tom Middleton。作曲家として、また睡眠のための科学的根拠に基づいたクリエイター活動にも勤しんでいる。

静かなイントロは、夜空の星を思わせる。ゆったりとしたドラムビートは、水面に体を預けて浮かんでいるような感覚。それは海か、ナイトプールか、天窓のある浴場か。ただ静かに、その贅沢な時間を享受していたくなる。

6.Nightmares On Wax – Les Nuits

イギリス出身のGeorge Herbert Evelyn。『Nights Interlude』『Nights Introlude』に続くバージョン。原曲はQuincy Jonesの『Summer In The City』。

非常に有名な、トリップホップを代表する曲の一つ。原曲の美しさもあるが、それを再構築し、情緒豊かに編み上げられた音の織物を完成させている感情を丁寧に揺さぶりながら、やがて凪ぐ水面のような静けさにたどり着く。深く、優しい夜の色彩。

7.A Man Called Adam – All My Favourite People (Stay With Me)

イギリス出身、Sally RodgersとSteve Jones。シリーズ2や25周年記念版にもクレジットされている。本曲はTom Middletonのミックスもある。

心をせき立てるビートと、ガレージのソウルフルな推進力が絶妙に交錯する。Sally Rodgersの官能とロマンスが混在したボイスが、聴き手の心身に沁み渡る。

8.Skanna – This Way

イギリス出身、John Paul Graham。ハウス、プログレッシブ、ブレイクビーツをスタイルとする。’06年にはHybridとレコーディングやツアーともにした。

暗闇の中で演奏されるハウスジャズのような印象を受け、そのパーカッションやドラムの旋律が心の内からの鼓動を感じさせる。ややダークで、アドリブのようなサウンドが、より洗練された空間の息遣いを感じさせる。

9.Beanfield – Charles

ドイツ出身、Jan Krauseを中心にするグループ。’95年発表の当時は、レーベル主催のMichael Reinbothと組んでいた。エレクトロニカ、ダンス、ジャズをスタイルとする。

ひと昔以前の発表であるが、遜色なく肩を並べるトリップホップ・ジャングルスタイルの名曲。プログレッシブなエッセンスも持ち合わせ、危険な香りを孕むその佇まいが、非常にスタイリッシュな曲。

10.Fortunato & Montresor – Imagine (Imagination 2)

ドイツ出身、Jörg OfferとRalf Wolfgang Xaver Beckによるプロジェクト。Ralf BeckはNalin & Kaneの片割れ。(いつもややこしい、Energy 52の『Café del Mar』のリミックスを担当していたりする。)

ダークで怪しげな雰囲気に、Nalin & Kane味を感じる。ディープなダウンビートが体の熱を奪い去り、中毒性のある妖しい感覚が全身を這う感触を味わされる。

11.Jakatta – Strung Out

イギリス出身、元Joey NegroことDavid Russell Leeによるプロジェクト。2000年には、シリーズ8にも登場したThomas Newmanの「Dead Already」と「American Beauty/Paper Bag」をサンプリングした『American Booty』を発表し、予想外のヒットとなった。余談だが、’20年にブラックライブズマター運動を受けて、Joey Negro名義をやめている。

Jakattaのアルバム曲『American Dream』にさらに手を加えたもの。非常に深淵な空気感を持ち、美しい旋律が寂寥と不安をほんのりと感じさせる。Thomas Newmanの原曲の良さはもちろんのこと、Jakattaによるチルアウトの海底へと誘われる。

12.Jon Hopkins – Candles

イギリス出身、Jonathan Julian Hopkins。シリーズ20のTom Middletonの『Sea of Glass』のリミックスでクレジットされている。 アンビエント、モダンクラシック、テックハウスをスタイルとする。ロンドン王立音楽大学でジュニアクラスから勉強を始め、影響を受けたラヴェルのピアノ協奏曲のコンクールで優勝した。

クラシックをベースに、浮遊感と幸福感のあるメロディ。短い瞬間に、白い光と霧のような雲に包まれるような錯覚を受ける。

13.M83 – In The Cold I’m Standing

フランス出身、Anthony Gerard Gonzalez。M83はメシエ83という渦巻銀河の名前。シリーズ20で2曲クレジットされている。本曲は’05年発表のアルバムより。

お馴染みになりつつあるM83。ビートレスに進行し、シンセサイザーと囁きにより、緩やかにその存在が明確化されてゆく。シネマティックスケールな曲が、締めに相応しく、そしてまた新たな扉がゆっくりと開くのを見つめているようだ。

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