Café del Mar 3(Volmen Tres)

音楽/Music
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1996年発表のシリーズ3作目。ジャケットにはスペインの白い村(Pueblos Blancos)に掛けられた額縁に、夕陽や貝殻、デッキ、カモメなどCafé del Marの象徴が配置されている。旋律の美しい曲、ダークな曲などの対比が鮮やかな作品。

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1.José Padilla – Walking On Air

説明不要でさえある、スペイン出身でChillout界の象徴的存在である伝説的DJのJosé Padillaの曲から始まる。

冒頭から雷雲が鳴り響くが、今まで空を覆っていた雲が嘘のように流れ去り、清々しい朝の空気を感じさせる。早朝の誰もいない砂浜に足跡をつけて歩くような、穏やかな気分。決して大きく盛り上がるわけではないが、心持ちをニュートラルに整え、聴いている者を次の旅路へと導く曲。

2.Nova Nova – Tones

フランス出身のMarc DurifとMichel Gravilのデュオ。

クラシカルなピアノの美しく力強い旋律。意外にも、フランスらしいオシャレアレンジというわけではなく、ともすれば古典的とも受け取れる曲である。ビーチで聴く曲! ではなく、海も山も街も、ともすれば無形である風や光の表現をも含んだ畏敬の念のある作品となっている。

3.Pat Metheny – Sueño Con Mexico

アメリカ出身のジャズギタリストのパット・メセニー。グループでも活動し、20回を超えるグラミー賞を受賞する活躍している。

『メキシコの夢』と題されている。その夢を表すこの曲は、とても希望に溢れている印象。ビートレスで、繊細に奏でられるギターサウンドは爽やかで活気があり、聴いている間に心のわだかまりが消えゆくよう。

4.Afterlife – Blue Bar

イギリス出身のSteven Gordon Millerによるプロジェクト。

前曲からの繋がりも全く違和感ないが、雰囲気が大きく変化する。クラシカルなピアノと重厚なドラム、女性のコーラスが織りなす印象が、寂寥感や不穏さを漂わせる。Afterlifeの曲にはいつも独特の物悲しい雰囲気があり、彼らの世界へと引き込まれるように思う。

5.Miro – Emotions Of Paradise

デンマーク出身のMads ArpとSteen Thøttrupのユニット。テクノ、トランス、ハウスなどを手掛け、チルアウトでも欠かせない存在。のちのレジデントDJであるBruno Lepetreに「史上5番目に優れたアンビエントトラック」と評価されている。

明るさを感じない、ダークな感情を持つ楽園・・・。プログレッシブさを持つ曲調ながら、夜明けを感じさせるビートやシンセサイザーが荘厳さを醸し出している。

6.Nightmares On Wax – Nights Interlude

イギリス出身のGeorge Herbert Evelynと、元メンバーのKevin Harperのプロジェクト。トリップホップを主体とし、レゲエやヒップホップなどのバックボーンを持つ。

トリップホップサウンドが、上質のスモーキーなチルアウトを生み出している。騒ぐだけではない、大人としての落ち着いたチルアウトの時間・空間を演出している。薄暗い中にも色とりどりの光があり、色気のある艶やかな景色が目に浮かぶ。

ちなみにこちらの『Nights interlude』は91年の曲であり、96年発表の『Le Nuits』は、さらにストリングスやジャズ要素を付加し、より深い没入感のある進化を果たしている。

7.Eighth Wave – Panama Bazaar

イギリス出身DJ、Gordon Kaye、Aj Skully、Nick Carter。ソウル、サイケデリック、アシッドハウスをスタイルとする。

まだ少し暑い宵の口、波の音を掻き消す程度の穏やかな音楽に盛り上がる浜辺。灯された火が幻想的に揺らめいている。

8.Pressure Drop – Dusk

イギリス出身のJustin LanglandsとDave Henleyのデュオ。プロデューサーは彼らの別名義であるBlood Brothers。N.O.W.と同じくトリップホップ、またダウンテンポをスタイルとする。

ダークスモーキーな雰囲気があり、笛やパーカッション、独特な歌声が民族感を演出する。薄明かりを意味するタイトルの『Dusk』が、夜へと移ろいゆく様を表した曲調となっている。

9.Alex Neri – Asia

イタリア出身のAlessandro Neriは個人でも活躍するが、Planet Funkの創設メンバーとして知られる。共同プロデューサーにMarco Baroni。

タイトルにあるアジアはどこを指すのだろうか。エレクトロなビートに、幽かに聞こえる笛の音が彩る。神秘的なアジアの風景を感じさせながら、バレアリックな雰囲気をも持ち合わせている。遥かな海の向こうの世界と繋がっているのだと思わせる、壮大な一曲となっている。

10.Moodswings – Redemption Song

イギリスのエレクトロ、トランス、アンビエントをスタイルとするGrant ShowbizとJames F. T. Hoodのデュオ。Tanita Tikaramがボーカルを担当。

ボブ・マーリーの『Redemption Song』をダウンテンポソングとしてカバー。夕暮れ時に流すと、観客たちがこぞって「Oh Happy Day」と唱歌しそうな曲。爽やかな夕日の日差しを浴びながら、一体感に包まれるだろう。

11.Fazed Idjuts feat. Sally Rodgers – Dust Of Life


イギリス出身Conrad McDonnell、Dan TylerとSimon LeeによるFazed Idjuts。そしてA Man Called Adamのサリー・ロジャースによる共作。Fazed Idjutsはハウス、ディスコスタイルを持ち、サリー・ロジャースは既出の通りバレアリックサウンドを持ち味とした、お互いの良いところを見事に掛け合わせた作品となっている。

哀愁漂うギターサウンドから、ハイテンポなパーカッション。盛り上がるに連れ、音のジャングルに迷い込ませるような錯覚を与えてくる。そこでは誰しもが一心不乱に踊るしかないのだ。

12 Beat Foundation – My Freedom

イギリス出身、メンバーはAndrew Derek Cocup、Michael Mukhopadhya、Dan Hewsonからなる。特に知られるのはGroove ArmadaのAndy Cocupだろう。

海の彼方からの放射線のような音の波が、非常にカッコよく響いてくる。アップビートになり、引く波のように収まり、また寄せるうねりが身を包んでくる。ボーカルもポップでありながら、café del marシリーズにおいても屈指の良質なチルアウト曲。出だしからGroove Armadaのルーツを感じ、乾いたビートや宣言のような「My Freedom」という歌詞がそれぞれ絡み合っている。

13 Heavyshift – Last Picture Show

イギリス出身、サックス奏者のJohn Leslie Wallaceとキーボード奏者のWilliam South(のちにドラムのJulian Fentonが加入)からなるジャズデュオ。

アシッドジャズのテイストで、サックスがリードする、非常に色気のある仕上がりとなってアルバムを華麗に締めくくっている。この曲が流れれば、無粋なアンコールなどは要らないだろう。幸せな気持ちのまま帰途につけそうな曲である。いや、まだ時間はある。たっぷりと贅沢な時間を楽しもう。

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