Café del Mar 9 (Volumen Nueve)

音楽/Music

2002年発表。コンパイラーがシリーズ7からのBrunoへと戻った。ジャケットのデザインは、瓶底に9の文字が浮かんだようなレンズを通してCafé del Marの店内が映っている様子。緑を基調にしたデザインが、Brunoの持ち色を表現しているよう。今作での選曲の方向性は、前半にやや暗いアンビエントな曲調のものが多く、後半にかけて爽やかな印象を抱かせる作りになっている。

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1.Jo Manji – Beyond the Sunset

ノースイングランドを拠点とするDavid JonesとDaniel Lozinskiのプロジェクト。ハウスやアンビエントをスタイルにしている。サックスを担当したのはJohn Mcgoughで、のちにKoruやNew Begining名義でも素晴らしい曲を披露している。

波音静かな囁きから開幕し、John Mcgoughの芳醇なサックスが包み込む。まるで黄昏時の海辺に立ち、沈みゆく太陽の余韻に浸るかのよう。今後のcafé del marの方向性を象徴するチルアウトな一曲。サックスやピアノを多用するスタイルは、ある意味ではステレオタイプなチルアウトとなっていくのだが、それでもその完成度は高く、聴く者を陶酔させる力を持っている。

2.Lovers Lane – Island Memories (original mix)

レジデントDJのBruno Lepretreとドイツ出身Ansgar Üffinkによるプロジェクト。相方を務めたAnsgar ÜffinkはVargo名義でこの後もcafé del marに深く関わっている。

ややダークな荘厳さや神秘さを醸し、まるで古代遺跡の中に迷い込んだように感じさせる。夕陽が建物を鮮やかに照らし、その影はより濃さを増し、その温度差をはっきりと感じさせるような曲調。一見すると騒がしいダンスアイランドでも、常に歴史と文化の光と影を背負っているのだ。

3.Blank & Jones – Desire (ambient mix)

ドイツ・ケルン出身のJan Pieter BlankとRené Patrick Rungeの2人からなる。エレクトロニカ、トランス、ダウンテンポをスタイルとする。

Blank & Jonesはトランスでも非常に名高いが、独自の「Relax」シリーズの作成など、アンビエント・チルアウトでも非常にレベルの高い曲を作る。今作もアンビエントミックスとして、原曲とは全く違うチルアウトに昇華させている。ビートレスで幽玄な笛の音とシンセサイザーが絡み合い、遥かな大洋を想起させる。Blank & Jonesの曲には海を感じさせる不思議さがある。

4.Kalliope – Lunar Landings

デンマーク出身のJesper Hjersing SidelmannとRasmus Kaae Munchによるプロジェクト。エレクトロニカ、ダウンテンポなどをスタイルとする。

ボーカルがデンマーク語なのだろうか。北欧の冷えた質感と、どこか温もりのある雰囲気が交差する曲。エレクトロニカを基調としたエレガントなメロディーが、青白く輝く月の光を受けた波打ち際で、冷たい海風を感じさせるよう。

5.So Fine – A Day in the Sun

Gregers KrarupとレジデントDJであるBruno Oliver Lepretreのふたり。Gregers KrarupはCornucopiaやSolid Worrldで活動し、兄はLenny Ibizarreとして知られている。

少し重めのドラムから始まるゆるりとしたビートとファニーなサウンドが、夏の気温のように体に絡みつき、サマーベッドに横たわる体をまどろみへと誘う。昼過ぎから夕方にかけた気だるい時間を思わせ、どことなくIbizarreと同じ源流を感じる曲調。

6.Miro – The Cure (sunshine mix)

シリーズ3から再登場のデンマーク出身、Mads Arp と Steen Thøttrup。トランス、テクノからチルアウトまで活躍している。ボーカルはJulie Harrington。Gary Butcherも参加している。

硬質なシンセサイザーが、Julie Harringtonの涼やかなボーカルと相まって、日没後の切なさと安らぎを醸し出している。こちらもまた、デンマークはやはり涼感のあるエレクトロが特徴的なのだろうと思わせる一曲となっている。

7.Rue du Soleil – Troya

スイス・チューリヒ出身のAlfonso Bianco, Dragan Jakovljevic, Yavuz Uslu, Claudio MontuoriとAndia Bischof-Foehrの5人。ハウス、トリップホップからチルアウトをスタイルとする。café del marにて『Dreaming Of…』の曲がかかったところ、Brunoの目(耳)に留まったという。

やや仄暗くエモーショナルなメロディーは、夕暮れから夜へと移り変わる瞬間を捉えたかのよう。マジックアワーの光が色を失っていく様子は、空というキャンバスが黒く塗りつぶされていくようだ。

8.Soft Wave – Plenitude Part 2

イギリス出身のBernard LermitとBob Templarからなる。ダブ、ダウンテンポ、アンビエントをスタイルとする。

多彩なストリングスが幽玄に響き、まるで人の気配のない海辺に佇んで、寂しさや侘しさを掻き立てられているような感覚。浜辺を1人歩き、内省的な思いに耽る。見上げた夜空には無数の星が輝き、宇宙へと落ちていきそうな感覚。

9.CDM – Many Rivers to Cross

Jimmy Cliffの同名曲をサンプリングしたもの。編曲はJavier Losada。ボーカルはPhil Trim。

ようやく気持ちを明るくさせてくれる曲。緩やかなビートと伸びやかなボーカルが、バレアリックな曲調によく合い、爽やかな夏の海岸へと誘ってくれる。泳ぎ疲れたら浜辺に座り込んで聴き入るのもよし。気分を落ち着かせながらも高揚させてくれる。

10.Quantic – Time Is the Enemy

イギリス出身のWill Hollando。トロピカル、クンビア、サルサ、ボサノヴァ、ソウル、ジャズをスタイルとする。the Quantic Soul Orchestraとしても活動。

ジャジーな曲調をベースに、左右に流れるピアノや重めのドラムなどが心地よいダウンテンポな作品。海沿いのジャズバーにて、生演奏を聴きながらグラスを傾ける。時間を忘れて耳を傾けさせる、大人の夜を演出してくれる曲。

11.Trio Mafua – Quente

イタリア人ギタリストのBeppe Fornaroli(本名Giuseppe Fornaroli)、ブラジル人ボーカルZezé Vilhora、パーカッショニストのMarquinho Babbooによるトリオ。ラテンハウスやニュージャズをスタイルとする。

シリーズを通して、珍しく正統派のボサノヴァ。意外とボサノヴァが少ない気がするのは、その音楽性が明るすぎるのだろうか? しかしこのアルバムにおいては、ラテンの心地よいリズムやサックスが清涼剤となっている。

12.Lazybatusu – 8:00 AM

アメリカに拠点を置くCorrado BailoneとSimone Giuliani。ニュージャズ、フューチャーラウンジ、ダウンテンポをスタイルとする。

陽光が目一杯に差し込んだ、非常に透明度の高い海を漂うような曲。ゆっくりと進むボートの上で日差しを浴びながら寝転がっているかのような快感がある。タイトルの通り、贅沢な朝の時間を味わえる曲。

13.Swen G* feat. Inusa – Morning Light (coffee shop remix)

ドイツ出身、Swen Gutknecht。ボーカルには、ガーナ生まれの元ボクシングチャンピオンのInusa Dawuda。

波の音とギターの音色から始まり、そこへInusaのかすれたボーカルが感傷的に響く。アルバムの最後を飾る曲としてはアンチテーゼを感じるが、まさに朝の光が差し込む瞬間のような透明感に満ちた曲調が、キラキラと輝く素晴らしい一日が始まる予感を抱かせる。

14.Digitano & CDM – Rajamanta [interactive track for Win and Mac]

CD付属のビデオ。

曲調はドラマチックで、フラメンコギターがリード。いかにもスペインらしい気分になる。

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