Café del Mar 4(VOLUMEN CUATRO)

音楽/Music
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1997年発表のシリーズ4作目。海中の空気の球にCafé del Marという文字が浮かんだ、真っ青な色合いが印象的なジャケットとなっている。個人的に最も好きなChicaneの登場。収録曲offshoreは(ミックスにもよるが)どんなコンパイルにも欠かせない至高のトラックだ。

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1.JOSE PADILLA – QUE BONITO

アルバムの扉を開くのは、José Padillaの名曲『QUE BONITO』。タイトルを英語にすると「How Beautiful」となる。共同プロデューサーにSunchildのArian Beheshti、Astor Vekar、Ingmar Hänschの3人がクレジット。Arian Beheshtiはシリーズ7のSlow.Pulse、Ingmar HänschはLevitationとしても活動している。

イビサの空気感を深く理解し、熟成されたシェリー酒のように豊かな味わいのある作品。その曲調に角はなく、実に滋味が溢れ、イビサの風景が目に浮かぶ。

2.JOHN MARTYN – SUNSHINE BETTER (TALVIN SINGH)

イギリス出身のブルース・フォークギタリストであるJohn Martyn(本名Iain David McGeachy、’09年にアイルランドで亡くなっている)。イギリス出身のTalvin Singhによるリミックス。

John Martynによる優しい歌声と、Talvin Singhの施す民族音楽を彷彿とさせるミックスが見事にマッチして、まるで日没の海辺を彩る一枚の絵のよう。この曲を聴きながらオレンジ色に輝く海を見ていたなら、静かで穏やかな幸福感が漂い、日常の喧騒を忘れさせてくれることだろう。

3.INDO-AMINATA – LEO LEO

西アフリカ出身のAminatà Fofanaと共同プロデューサーにSouled Out、Leonardo Rosi。Aminatà Fofanaはモデル・歌手としてヨーロッパで活躍し、病を患い故郷へ戻り、アフリカン・ニン瞑想法を実践している。

出だしから色気たっぷりのサックスと、Aminata Fofanaの魅惑的なボーカルが感情を揺さぶる。また、スパニッシュとアフリカンが融合したサウンドに祈りを込めたコーラスが神秘的な雰囲気を漂わせ、聴いている者の心の中に熱い感情を呼び起こすことは間違いないだろう。

4.PACO FERNANDEZ – GRILLOS

Paco Fernándezはスペイン・グラナダ出身、フラメンコギター奏者であり、ワールドミュージックやジャズを取り入れたスタイルを持つ。

可愛らしい子どもの「GRILLOS」という言葉で始まり。。。どう聴いてもスペイン語ですよね? 「コオロギ!」って言ってるのか・・? 確かに冒頭はコオロギの美しい鳴き声からスタート。セピア色に輝く、コオロギが鳴き出す夕方の景色を想いながら聴くのに、ちょうど良さそうな、優しく爽やかな曲調。そしてフラメンコギターが強く訴えかけ、郷愁を駆り立てる。

5.VOICE OF KWAHN A.D – RETURN JOURNEY

アメリカ出身のAnna Homlerと、Nigel Roger Butler、Mark Stephen Daviesのデュオ。(と思われる)

ダウンテンポでややエスニックな曲調に潜む、Anna Homlerの暗く沈んだボーカル、低音の響く笛、パーカッションが呪術的な印象を醸し出している。しかしそれがイビサのイメージを壊す訳ではなく、神秘的なサウンドスケープを形成している。

6.LES JUMEAUX – MIRACLE ROAD

イギリス出身のKlive HumberstoneとNigel Humberstoneの双子によるプロジェクト。ボーカルはDee De Rocha。

ダークでミステリアスな雰囲気があり、シネマティックにも思わせるアンビエントとダウンテンポの曲調が、まるで霧の深い森の中にいるように思わせる。その森の中に誰かが踏みしめた道がある。これはどこへ続く道なのか・・・。自然と想像が膨らむミステリアスなトラックとなっている。

7.WASIS DIOP FEAT. LENA FIAGBE – NO SANT(FLYTRONIX MIX)

セネガル出身のWasis Diopは民族音楽とジャスなどを融合させたスタイルを持つ。リミックスを担当したFLYTRONIX のDanny Demierreはドラムンベースをスタイルとする。

原曲とは対照的であり、クールなジャズを基調にソウルシンガーであるLena Fiagbeのボーカルとドラムンベースのスタイリッシュなセッションとなっている。この曲はドレスコードをキメあげて聴くべしと思わせられる。

8.LEVITATION – OUT OF TIME

ドイツ・ケルン出身のIngmar Hänsch(イングマール・ハンシュ)、Marcell Meyer(マーセル・マイヤー)、Christian Gilcher(クリスチャン・ギルチャー)からなるグループ。ダウンビートやラウンジ、エレクトロニックをスタイルとする。

かなりプログレッシブ、トランス寄りでエネルギッシュな曲調。シリーズ3のBeat Foundationにも近い。チルアウトが静かな曲ばかりというのがそもそも間違いであり、エレクトロニカからビートを抜けばチルアウトになる、と思っていたらその真髄は理解できないだろう。ビートの高揚感が、冷えた体に再び熱を注ぎ込んでくれるようなパワーを持っている。

9.FILA BRAZILLIA – PLACE DE LA CONCORDE

イギリス出身のSteve Jon CobbyとDavid McSherryによるデュオ。エレクトロニカ、ファンク、ジャズ、ダブなどを融合させたスタイルを持つ。

前の曲で上がりすぎたら、少し落とそう。ダウンテンポでダブな曲は、夏の終わりの夜空を彩るような質感がある。スモーキーな空間に、スーツで身を固めた男性がソファに腰を掛けて仰いでいる姿が目に浮かぶ。

10.CHICANE – OFFSHORE (AMIBIENT MIX)

イギリス出身のNicholas Bracegirdle。Leo ElstobとのDisco Citizenzでも活躍している。Chicane名義の曲は多く、精力的な活動を続けている。相方のLeo ElstobもLeo Zeroの活動が特に有名。

遥かな大洋と眩い日差しを感じさせる名曲。複数のUKチャートにも選出され、Café del Marの世界にも堂々と迎えられるべき一曲。Chicane自体の主軸はプログレッシブトランスといったところだが、上質な曲をなぜこうも量産できるのか。またこの『offshore』は、本人や他のDJたちによりあまりにも多くリミックスされているが、このAmbient mix以外ならA Man Called Adamによるリミックスも必聴だろう。

11.AFTERLIFE – 5TH & AVENDIA

シリーズ3から引き続き、イギリス出身のSteven Millerの登場。

Afterlifeはバレアリックな雰囲気を纏う曲作りなのはもちろんだが、他のアーティストが作るバレアリックとは一味違う独特のスタイルがある。海や太陽の温かさを感じさせつつも、どこか物寂しさを感じさせる曲調。砂浜を想起するより、夜の街の散策と受け取るべきだろうか。オレンジ色の街灯に照らされた街並はまだ眠らず、あちらこちらで中年の男たちが酒盛りを交わしている。そんな光景が目に浮かぶ。

12.KAREN RAMIREZ – TROUBLED GIRL (SPANISH VERSION)

イギリスのダンスミュージック歌手Karen Ramirez。3曲目のIndo-Aminataに関わったSouled Outがプロデュースしている。

この曲には英語バージョンも存在し、言語の違いによっても印象が大きく異なる。スペイン語バージョンでの彼女のソウルフルな歌声と、スパニッシュギターの音色が強いアクセントとなっている。民族的で情熱的なサウンドは、3曲目のIndo-Aminataと同様の雰囲気を醸し出しており、アルバムの統一感を引き立てている。

13.PHIL MISON – LULA

イギリス・ロンドン出身で、バレアリックやアンビエントといったスタイルを持つPhillip William John Mison。Cantomaとしての活動もしている。José Padillaなどの影響を受け、偶然の出会いからcafé del marで2年間DJをしていた。

曲は静かな出だし、鼓動を思わせる重めのキックが響く。叙情的な雰囲気が豊かなピアノの旋律とシンセサイザーの妙味が、ゆっくりと体を解きほぐしていく。

14.STAN GETZ – STREET TATTOO

アメリカ・ペンシルバニア出身のテナーサックス奏者Stanley Gayetzsky(’91没)。彼の温かく叙情的な音色は「The Sound」と形容されている。ジョビンによるボサノヴァの名曲「イパネマの娘」の、ジルベルトとの演奏が非常に有名。

このアルバムの締めくくりに相応しい、壮大なジャズナンバーとなっている。甘いメロディの中に、1日が終わる切なさや別れの寂寥感が、サックスの叫びに込められているようにも聴こえる。

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