Café del Mar14(VOLUMEN CATORCE )

音楽/Music

2007年発表、シリーズ14作目。こちらもCD2枚組構成となっており、ジャケットはCafé del Mar店内のシャンデリアライトが水中のように揺らいで映し出されている。オープンな屋外よりも、クローズドな室内で聴く曲が多くなった気がする。また、個性的な音楽が増えた印象。それぞれの音楽の特色が出ていて、以前のシリーズのチルアウトとはまた趣向が変わってきている。

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CD1

1.Light of Aidan feat.Note for a Child – Loving You

イギリス出身のPhil BaggaleyとDaniel Lozinskiのデュオ。ボーカルはイギリス出身、Note for a ChildというバンドのSusie Beattie。Daniel LozinskiはJo Manjiのメンバー。

か細く囁くようなSusie Beattieの歌声と、だんだんと深みに入り込んで行くサウンドが絡み合う。静寂の闇に微かな光が射し込むような荘厳な開幕は、夜明けを感じさせる期待を湧き起こさせる。

2.Andrey Denisov – Night Highway

ロシア・西シベリア出身のAndrey Denisov。幼少期はモスクワの音楽学校で、6年生の時にバンドに参加。ビートルズをはじめとする西洋のロックに触れている。その後にジャズ科に進学、ピアノやキーボード、ドラムなどを担当し、マルチ楽器奏者へとなる。

タイトルほどの疾走感はないが、ジャジーなリズムの中、夜のハイウェイで風を感じながら車を走らせているよう。昔ながらのオレンジ色の照明が、音に合わせて瞬く。

3.Kitty the Bill – Cabriolet Tour

ドイツ出身のKatrin Stoffel。シリーズ13に続いての出演。

ビーチとは違う、静けさの中に漂うラグジュアリーな空気。繊細で複雑な演奏が広がる中、どこかシネマティックな緊張感が漂い、ゆったりと繰り返すリズムが聴き手を虜にする。大人の静寂と不思議な高揚感を感じさせる作品。

4.Tape Five – Longitude

ドイツ出身のマルチ楽器奏者、Martin Strathausen、Gilda Rebello、Henrik Wagerによるプロジェクト。スウィング、ラテン、ジャズなどのスタイルを持つ。ボーカルはJulia Terassova。

切なさ漂うギターの音色。しっとりと落ち着いたメロディに、Julia Terassovaのやや重たい、しかし芯のあるボーカルが曲に感情を乗せる。暗くならず、ムードはしっかりと掻き立てる。陽が落ちた海は暗くなりもうほぼ見えなくなるが、この曲の間は立ち尽くしてしまう。

5.DAB – Genesis

スペイン出身のLuis SanchoとPedro AndreuによるDigital Analog Band。ギターは25周年記念版からの、Nacho Estéves”El Niño”。

スパニッシュギターのリードが切なく響き、エスニックなパーカッションとボーカルが絡み合う。スパニッシュとダウンなハウスが入り混じり、熱くも静かに感情を揺さぶってくる。

6.Deeper & Pacific feat. Daniela Ferraz – Una Passion Perdida

Marco Antonio DuarteとDaniela Ferraz。おそらく、ブラジル出身。

重厚なキック音とボーカルの歌い上げがクセになりそう。タイトルを訳すと”失われた情熱”となるが、決して曲からはその喪失感を一切感じない。しかし、なんか聴いたことがあるような・・・。元ネタがあるのか??

7.Mahara McKay – Soulsmooth

ニュージーランド出身、Mahara McKay 。シリーズ12で初登場。マオリ族に囲まれて育ち、美術学校を出た後ミス・スイスコンテストで受賞。音楽の道にも進み、モデルと並行して活躍していたが、怪我・病気により活動を休止。シリーズ12が発表された2005年頃から、ヨガや瞑想の道も歩んでいる。

ヨガと音楽を融合させるスタイルを持つMahara McKay。思わず腰を振り出しそうなエスニックな曲調をベースに、有機的なサウンドとジャジーさを融合させながら、どこかバレアリックさをも感じさせてくれる。

8.Alexander Vögele & Jillene Luce – Soul Connection

曲のプロデュースはAlexander VögeleとMinus8(Robert Jan Meyer)。ボーカルはマイアミ育ちのJillene Luce、17歳からキーボード奏者やDJなどで活躍している。

ラテンクラシカルな雰囲気を醸す曲調。アコーディオンのような音律と艶っぽい歌声が甘美に響くオシャレな曲。どことなくフレンチポップさを感じる1曲だが、アルバムの中でも特に印象的な曲。室内で聴くほうが雰囲気にマッチしそう。

9.Rue du Soleil – Missing

スイス出身のAlfonso Bianco, Dragan Jakovljevic, Yavuz Uslu, Claudio MontuoriとAndia Bischof-Foehr。

チャイムのようなピアノと、民族音楽的な野太い笛の音が響く。どこかクラシカルで、懐古的な抒情がある。

10.La Caina – Do Tara Alap

フランス出身のJean Pierre Plisson。シリーズ12、13からの登場となるが、今回は親子での出演ではないよう。

インド音楽を思わせる壮大な映画音楽のようで、まるで琴のような音色のギターが異国情緒たっぷりと演出している。アジアチックなムードがアルバムのスパイスとなっている。

11.Camino del Sol – Dans Les Rues de Barcelone…

ニューエイジなどをスタイルとするFrédéric Momont。

スパニッシュギターの旋律が生み出す浮遊感が、バルセロナの街並みを鳥の目で見渡すような曲。赤い屋根の家々を見渡し、歴史ある路地に歩みを進めると、それはまるで「世界ふれあい街歩き」のような・・・。切り取る場面のどれもが異国情緒を感じさせる1枚の絵となる想像が膨らむ。

12.Elenah – Luz de Hielo

スペイン出身のElena Huércanos。フラメンコ、ジャズ、フュージョンをスタイルとする。

優しいダウンテンポなフュージョンを基調に、少し眠気を感じるかのような歌声。緩やかなギターが鳴り響き、ボサな昼下がりを思わせる雰囲気を醸し出している。昼下がりのゆったりとした時間の微睡み。聴こえるのは曲の中の波の音か、現実の波音か・・・。

13.Steen Thøttrup – El Alba

デンマーク出身のSteen Thøttrup。

北欧の冷たい海の風を感じる夜明けを感じさせる。夜明けは日没にも似ているが、やはり期待感や希望を感じずにはいられない。水平線の彼方から世界が明るくなっていく様子を表現した良曲。

14.Almadrava – Land of Eternal Sunset

ドイツ育ちのPatricia LeidigとPedro Toroのデュオ。

ポップチルというべきか、非常にわかりやすく、温かみのある曲である。永遠の夕陽の島というタイトルがどこを表すのか・・・その島を愛する気持ちを込めて甘く、優しく歌い上げているのが伝わってくる。

15.Michael Hornstein– Carma

ドイツ出身のサックス奏者Michael Hornstein。ジャズをはじめとした現代音楽などをスタイルとする。14歳でチャーリー・パーカーに影響を受け、アルトサックスを始め、ドイツをはじめ国際的なジャズミュージシャたちとの共演を果たす。コンサートや客員教授としても活動している。ボーカルがUnknown Tibetan Female。

ダークでノンビートな曲調に、サックスとピアノのそれぞれが印象的に奏でられる。月明かり以外の光のない真っ暗闇の中、正体不明のチベット人女性の「カルマ」と言うボイスが妙にクッキリと表され、ジャジーな雰囲気に神秘さを深めている。

16.Elmara – Training

スペイン出身Fernando Marañon Sanchez。アンビエントをスタイルとする。

クラシカルなアンビエントが、非常にスムースで美しい曲。曲を聴きながら目を閉じると、夕陽を浴びる街並みや海辺、黄金色に包まれる空間がいっぱいに広がるのを容易に想像できる。

CD2

1.Viggo feat. Anuska – Childhood

スペイン出身のJosé Luis MerinoとAna Esther Alborg。ボーカルにAnuska。シリーズ13では大トリを飾っている。

爽やかで優しい幕開けの曲。心地よい昼下りのの空気を纏っているようにも感じる。Anuskaの可愛らしく、クリアな歌声がキュートな曲と相まって非常に穏やかな雰囲気を持つ。

2.Melibea – Jam’in Dawn

Pedro Sánches ArellanoとCarlos de los Santos、David Huertas Bravoによるトリオ。25周年、シリーズ12からの常連。

しっとりと大人の雰囲気を醸すロマンチックな旋律が、夜を楽しむ大人たちの社交を彩る。ライブ感のある上質なジャズ&ボサテイストな曲。

3.Duo Mecánico – Love Luxury

イタリア出身、世界中で活躍するDJ&RemixerのStefano CapassoとTommaso Pau。ボーカルはTia Architto。

足を踏み入れるのを躊躇いそうな、仄暗いホテルへ。舞台で披露される、ダークでラグジュアリーな雰囲気を持つ曲。高音と低音を使い分けるボーカルが強く響き、聴くものを揺さぶる。

4.Agron – Love my Soul

Agron Bislimi。

ややダークでスモーキー、どこか切ないギターの音色と女性の囁くボイスが、闇を纏う夜へと誘う。明かりのない浜辺を歩き、波の音だけが海を感じ取れる。

5.Schwarz & Funk – Remando al Viento

ドイツ出身のAlexander Hitzler(Bob Schwarz)とMartin Czihal(Jesse Funk)のプロジェクト。ハウス、ラウンジをスタイルとしている。

風を漕ぐというタイトルのように、緩やかでほんのり気だるい風を肌に受けているような気分になる曲。風が波を押しのけ、それがうねりとなり、海岸に切なさを打ち寄せるようなギターの音色。

6.Jazzy Pecada – Slow Down

Melibeaの変名プロジェクト? プロデュースにMelibeaがクレジットされている。もしくはMelibeaのプロダクションに所属しているか、いずれにせよ近しい存在なのだろう。

ジャジーかつ電気的な歪んだ音色のギターが響き、ディープな雰囲気を出している。エレクトリックなメロディが、彩り豊かにライトアップされたビーチを演出しているかのようだ。

7.Gary B – Love Rain Down

イギリス出身、Gary Butcher。ボーカルも務めている。

Gary Bの渋い声が歌いあげる、少し切ない雰囲気のある曲。過去への郷愁や失われた愛を彷彿とさせ、そんな悲しみの情感の中にもバレアリックな爽やかさを感じさせる。

8.Alejandro de Pinedo – Wonderland

スペイン出身、Alejandro de Pinedo。ボーカルにFranklin Raymore。

Lucas Morenoがテナーサックスを駆使し、Franklin Raymoreのリード&コーラスが曲をセピア色に描く。男性のボーカルとコーラスにしか生み出せない哀愁があり、心地よい情感を生み出している。

9.Clélia Felix – Hidden Island

フランス出身の女性シンガーソングライターであるClélia Felix 。ポップ・フォークを主体として、トリップホップ・ダウンテンポをスタイルとする。

バレアリックなリズムとギターサウンドが心地よいインスト。トランペットとサックスの間のような、少し割れたような音すら、イビサのライブ感を感じる。桟橋から海へ足を投げ出して、海の彼方に陽が沈む瞬間を眺めている気持ちにさせてくれる。

10.Teri Richardson –Shadows of My Love

ニュージーランド生まれ、ボーカル担当Teri Richardsonと作曲担当のRoberto Merliniによる。トランペットはMalcolm Wood。

深淵に落ちていくシンセとサックス、Teri Richardsonの電子的なボイスが特徴的な曲。ダウンでややダークな雰囲気があり、陽が沈んだ後のマジックアワーに合いそうな曲調。

11Ypey – Love in Spain

フランス出身のGregory Grimaldi。シリーズ10、20周年版からの登場。

トリップホップが、怪しげな雰囲気を漂わす曲。哀愁のあるギターの音、歌とも取れないボイス、そこへ幽玄なシンセが混じり、ゆっくりと聴く者を飲み込んでいく。砂に飲まれるように抗えず、ただひたすらスローに沈んでいくのを感じる。

12.Orgatronics – Viva Cuba Musica

Sam Bell、Rich Arthurs、Dan GoldmanとMalcolm Strachamの4人組プロジェクト。Malcolm Strachamがトランペット、Dan Goldmanがキーボード、Sam Bellがカホンやコンガ、Rich Arthursがギターを弾いている。現代的なラテンジャズを独自に融合させたスタイルを持つ。

タイトル通りのキューバ音楽だが、アダルティなトランペットや打楽器が印象的。ジャジーな雰囲気もあり、そこは小さな社交クラブのよう。陽気すぎないムードが希望も哀愁も織り込んだ人生を表しているようで、それでも良いものなのだと伝えてくる。

13.Nouvelle Vedette feat. Fleur Sanderson – With You

イギリス出身、Jim Sykesによるプロジェクト。編曲にJohn McGough。ボーカルに Fleur Sanderson。

ダウンテンポなやボーカルを重視した曲調、一聴すればJohn McGough風味とはわかりにくい。しかし繊細なピアノやギターがアクセントとなり、変速的なビートが気持ちを落ち着かせてくれる。

14.Alessandro Boschi – Sentosa

イタリア出身のAlessandro Boschiはシリーズ12からの登場。

街並みの音から、すぐに一転して静寂に包まれる感覚。時の止まった街の様子。そしてまたトリップすると、高台から広い街を見下ろすひとときに浸る。ぬるい風が頬や髪をなぞる。

15.Koru – I Believe

イギリス・ノースヨークシャー州のソルトバーン出身、 John McGoughとMatt Wanstallのプロジェクト。前出だが、John McGoughは2018年に白血病で亡くなってしまっている。曲中のサックスとボーカルは彼による。

Koruらしい、色気たっぷりのサックスが響く。マジックアワーの演出とともに聴きたい曲。空の赤と青のグラデーションに溶け込むような静かで力強いサックスと、落ち着いた雰囲気を持ちながらも心を浮き立たせるような曲が非常に贅沢な時間を味わわせてくれる。

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