2008年発表。Café del Marもシリーズ15作目となり、3CD構成で3時間を超える大作となっている。コンパイラーはBruno Lepretre。収録されている曲の大半が、25周年記念版やシリーズ12以降からの常連アーティストで構成されており、一つの時代を象徴するアルバムである。同じアーティストが変名で登場しているが、似た曲ばかりになりそうなところをしっかりと作り分けられており、これだけの曲数を収めているにも関わらずアルバムの指向性は損なわれていない。
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CD1
1.Reunited – Sun is Shining
デンマーク出身、Christian RosénとJesper Hjersing Sidelmann。Jesper Sidelmannはシリーズ9のKalliopeの片割れである。ボーカルにデンマーク出身のソウル歌手でグラミー賞最優秀賞ノミネートのDaniel Sitrit。原曲はボブ・マーリーの『Sun is Shining』。
いよいよ、名曲をミックスして売り出していくスタイルしか無くなったか・・・と思わせ、その落胆をちゃんと裏切ってくれる出来となっている。ダウンテンポなメロディに混ざり合うスパニッシュギターとDaniel Sitritの歌声が、ともに甘く切なく奏でられ、曲に深い感情を吹き込んでいる。キャッチーではあるが、開幕の曲としてもCafé del Marのアイデンティティを失っていない。
2.Melibea – Wake Up
David Huertas BravoとPedro Sánches、Carlos de los Santosのトリオ。シリーズ12からの常連。
まるでCafé del Mar店内を表現するような、浮遊感と可愛らしさを纏ったバレアリックサウンド。柔らかなサウンドが聴く者の耳元を撫で、空へと舞い上がっていくよう。
3.Ludvig & Stelar – Relax
クロアチア出身、Damir LudvigとGoran Stetic。シリーズ11、25周年記念版からの登場。
ジャズとトリップホップが融合し、夜の雰囲気を感じさせる。少し薄暗いスモーキーなラウンジで聴く、大人の時間。
4.Jazzy Pecada – Avantguard
おそらくMelibeaの変名プロジェクトであるJazzy Pecada。こちらは前作シリーズ14からの登場。
ジャズのエレガンスさとバレアリック特有の解放感が調和した、洗練されたサウンドスケープ。印象的なギターやピアノの旋律に、トリップホップを感じさせるリズムが絡み合う。都会の夜にしっとりと溶け込むような曲。
5.Nera – Life is a Wonder
ドイツ出身、Nera Wohlgemuthと、Felix Occhioneroも参加している。NERA & FELIXとしてはシリーズ12、13と登場している。
Neraの特徴的な低音の効いたボーカルと、ギターの軽やかな音が調和している。昼過ぎからビールを片手に酔いしれたい曲。
6.Soula & Angela – Night Wave in Ibiza
ギリシャ出身、Boumpouridis KonstantinosとBoumpouridou Eleniの親子によるプロジェクト。EleniはKostas(Konstantinos)の娘。このシリーズ15では様々な名義(Soula & Angela、Eleni、Lento、Kotic)でクレジットされている。
シンセを駆使した、硬質でダウンな印象。Eleniのクリアなボイスがその音の波に揺られながら、滑らかに流れていく。まるでサンセットと一緒にその海岸線へと消えていくよう。
7.Eléni – World
名義はEleniとなっているが、前曲と同じBoumpouridis KonstantinosとEleniの親子によるプロジェクト。
前曲とは雰囲気が打って変わり、ファニーな印象のメロディ。波打ち際で小さな子どもを遊ばせている親子たちが目に浮かぶ。ビートを効かせながら、Eleniの温かみのあるウィスパーボイスが心地よく広がる。
8.Clelia Felix – Smiling Faces
フランス出身の女性シンガーソングライターであるClelia Felix 。シリーズ14から再登場。
可愛らしい声と、ビートのきいたややハウス感のある曲がナイトクルージングを思い浮かばせてくれる。ポップさはそれほど感じないので、バックグラウンドにきっちりと溶け込んでくれる。
9.Villablue – One Step Away
フランス出身、Pascal de FalcoとJuanita Grande。
Juanita Grandeのアダルトな雰囲気を纏ったボーカルが、滑らかなハウスビートに掛け合わされるオシャレなナイトミュージック。さすがフレンチと思わせる、スイートなパッションラウンジを心地よく感じさせてくれる。
10.Orgatronics – Tren Lento a Juliaca
イギリス出身、Sam BellとRich Arthurs。シリーズ14から再登場。
ややサイケデリックなダウンテンポサウンド。昼過ぎなのか、それとも夜なのか、時間の判別が難しい居心地を感じさせる。そのどちらにも当てはまるような、どこかスパニッシュを感じさせる情熱を内包している。
11.Lento – Stop
またもや、ギリシャ出身、Boumpouridis KonstantinosとEleni親子によるプロジェクト。どんだけ活躍するんだ。
冒頭は、静謐で深淵な曲調。ダークみを帯びた中にEleniの、感情を抑えたボーカル。中盤からはピアノを駆使し、グッと盛り上げて来るドラマティックな展開で、ボーカル・曲調ともにキャッチーながら疾走感のある曲へと変貌する。
12.Soulchillaz – Alright
西ドイツ出身のIngo Herrmannによるプロジェクト。
どこかアフリカンテイストなボーカルに、ラテンジャズをイメージさせるメロディ。明るい内からのビーチを非常に楽しい雰囲気へと導いてくれる。
13.Paco Fernández – What Are We Living
スペイン出身、Paco Fernández。フラメンコ・チルの旗手としてシリーズ4から数多く参加。ボーカルは聴いただけで分かるであろう、歌姫Cathy Battistessa。
Paco De Luciaがフラメンコの正統派であるなら、Paco Fernándezはフラメンコとエレクトロを融合させ、時代と共に変化し続けてきた開拓者の1人だろう。いつでも安心して、現在とあの頃のイビサを繋いでくれる。
14.Gary B – I Will Be Waiting
イギリス出身のGary Frederick Butcher。シリーズ14でも披露した自らのボーカルを今回も担当している。サックス担当はIvan Myslikovjan。
男の渋い声とはいいものだ。緩やかに盛り上がる展開と絶妙なスローダウンが、楽曲全体に抑揚を与え、バレアリックなムードを巧みに演出している。
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