2008年発表。Café del Marもシリーズ15作目となり、3CD構成で3時間を超える大作となっている。コンパイラーはBruno Lepretre。収録されている曲の大半が、25周年記念版やシリーズ12以降からの常連アーティストで構成されており、一つの時代を象徴するアルバムである。同じアーティストが変名で登場しているが、似た曲ばかりになりそうなところをしっかりと作り分けられており、これだけの曲数を収めているにも関わらずアルバムの指向性は損なわれていない。
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CD2
1.DAB – Summer Memories
スペイン出身のLuis Sancho HijarとPedro Andreu。ボーカルをElena Rubio。
どことなくスモーキーな空気感のある、ハウス色強めでダンサブルな曲調。中盤からのスパニッシュギターが聴き手の熱を刺激し、サンセットを楽しめる心地よいムードを作り上げている。
2.Alexander Vögele feat. Jillene Luce – Breakaway
シリーズ14からの再登場となるAlexander Vögeleとマイアミ育ちの歌手・DJのJillene Luce。サックス担当をPhilipp Mall。
ダブルサックスとJillene Luceの少し甘い歌声が、潮風を感じさせるムードを生み出す。。シリーズ14の『Soul Connection』よりはアンビエント寄りになったか。それでもラウンジな曲。
3.Gary B – Eternally Yours
イギリス出身のGary Frederick Butcher。
珍しくビートのきいたイントロから、お待ちかねのGary B自身のボーカル。この、失礼ながらオッサンの歌声だからこその癒しがある。ギターの音色とビートが、毛むくじゃらの腕に抱かれるような感覚を抱かせ、そこにはなぜか安心感をも覚える。
4.Gelka feat. Beth Hirsch – Under My Star
ハンガリー出身、Csaba KürtiとDömötör Sándorによるデュオ。ダウンテンポをスタイルとする。ボーカルはアメリカ出身のBeth Susan Hirsch。
宵の明星が輝き出す時間帯に聴くのが最も良いだろうか。暗くなりすぎない、バレアリックさを持った上質なチルアウト。
5.Alessandro Boschi – Tarifa: Colores en el Viento
イタリア出身のAlessandro Boschi。25周年版で初登場し、シリーズでは12 、14にも出演。
クラシカルな雰囲気を纏ったバンド曲。ギターやピアノが複雑に絡み合い、情熱的なエスニックを感じさせる。
6.Koru – Closer
イギリス出身、John McGoughとMatt Wanstallのデュオ。ボーカルにKerry Green。
過去のCafé del Marに収録されているKoruやNEW BEGINNING名義にはなかったボーカルが入っているが、やはりサックスがメインの旋律であり、あるいはピアノやシンセなどが目立ち、ボーカルは副次的。いいエッセンスとなり曲を構成している。
7.Ensoul – Perfect Days
イギリス出身のAaron TaylorとJorden Milnes。 ボーカルはRachael Sprigg。
希望や優しさが溢れ、天上の光へ浮上していくような心地よさ。耳に残るポップチルではなく、ボーカルすらアンビエントのように曲に馴染み、黄金の風を受けているような気分。
8.Aitor Escobar – Mi Keny
ブラジル出身、フラメンコギタリストのAitor Escobar。両親は共にスペイン人であり、10歳から独学でギターを弾いていたという。2000年にパンプローナで開かれた第一回コンサートギターで全国賞を受賞した。コーラスはRaul Belmonte。
そのギターが強弱や力強さ、哀愁を変幻自在に表現している。複雑な感情を紡ぎ出す音色は、ビーチにいる者たちを様々な想いに駆り立てるだろう。
9.Santa Cruz – On the Shore
イギリス出身、Mark Barrottのプロジェクト。シリーズ10にてFuture Loop Foundationで登場している。琴演奏でObata Hiro。
なんか日本的な雰囲気を感じると思った。琴やメロディ、ボーカルがアジアチック。それが少しの違和感もなくビーチに調和するサウンドを生み出し、非常に上質な和洋の融合を果たしている。実際の琴がビーチにあると潮風で傷みそうそうだが・・・。
10.Duo Meceánico – Charade
イタリア出身、Tommaso PauとStefano Capasso。ボーカルは南アフリカ出身のMiss Tia(Tia Architto)。シリーズ14からの登場。
少しダークでミステリアスでありながら、ラグジュアリーさをも感じるのは前曲と同様。Miss Tiaのソウルのこもった、少し掠れた声が頬を撫であげてくるかのよう。
11.Sol Electrico – Strangers No More
ドイツ出身のギタリスト、Georg GrisloffとAnika barkowski。ボーカルもAnika barkowskiが担当している。
怪しく響くトランペットとAnika barkowskiの効果音を交えたボーカルが、軽妙なアングラ感を醸すジャジーな曲となっている。
12.Marc Puig feat. Maria Collado – To Forget Me
スペインを拠点とするMarc Puig。ドキュメンタリー、映画、コマーシャルなども手掛けている。ボーカルに Maria Collado。バイオリン担当はNatalia Escalera。25周年記念版からの登場。
印象的だったサックスは鳴りをひそめ、ボーカルとバイオリンが表立つ。Maria Colladoのアルトな声質が時に強く時に弱く感情豊かに響いてくる。後半に差し掛かる盛り上がりの部分では、より力強いボーカルに心を揺さぶられるだろう。
13.Yuliet Topaz – Jesus in the Sun
ボーカルのYuliet Topazをメインに、シリーズ14に登場したTape FiveのMartin Strathausenがプロデュースしている。
真夏の海岸線の、眩さを表す作品。Yuliet Topazがしっとりと歌い上げ、ギターを効かせたメロディがさざ波を感じさせる。重厚感を持たせながらも、しっかりとチルさせてくれる。
14.La Caina – Indian Moon
フランス出身のJean Pierre PlissonとMaxime Plissonの親子。
開幕は確かにバレアリックだが、すぐに異国への扉が開く。シタールだろうか、アジアテイストな響き。La Cainaはワールドワイドで変幻自在な作曲で楽しませてくれる。Maxime Plissonの伸びやかな歌声が悠久を思わせ、インディーなコーラスもまたしっとりと沁み渡る。
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