2008年発表。Café del Marもシリーズ15作目となり、3CD構成で3時間を超える大作となっている。コンパイラーはBruno Lepretre。収録されている曲の大半が、25周年記念版やシリーズ12以降からの常連アーティストで構成されており、一つの時代を象徴するアルバムである。同じアーティストが変名で登場しているが、似た曲ばかりになりそうなところをしっかりと作り分けられており、これだけの曲数を収めているにも関わらずアルバムの指向性は損なわれていない。
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CD3
1.Steen Thøttrup feat. Katie McGregor – Sunset People
デンマーク出身のSteen Thøttrup。ボーカルはフランス在住のケルト楽器奏者の Katie McGregor (Catherine-Jean Sgubbi Mcgregor)。
北欧の静けさと冷たさを感じさせる独自のシンセワークが特徴的。Katie McGregorのボーカルがシンセと溶け合い、夕日が最後の光を放ちながら消えていく瞬間を思わせる。
2.Stigma – Eternity
Bjoern Krumbügelによるプロジェクト。ギター担当はPedro Sanchez。
ダウンで冷たい風すら感じる曲。笛の音がアジアンなムードを強く印象付ける。ボーカルが風そのもののように軽やかに漂い、時間を忘れさせるひと時を思わせる。波に反射した陽光がサンセットビーチを駆け抜け、眩い時代とすら感じさせるよう。
3.Tape Five – Sandbank
ドイツ出身のMartin Strathausenによるプロジェクト。CD2の13曲目でもプロデュースを手がけており、こちらのボーカルもYuliet Topaz。エレクトロスウィングやラテン、ダブをスタイルとしている。
ビートレスなダブで、しっとりと落ち着いたサンセット向けの曲調。黄金色に輝く砂浜と、素足にかかる波を感じさせる。
4.Rue du Soleil – Higher
スイス出身のAlfonso Bianco, Dragan Jakovljevic, Yavuz Uslu, Claudio Montuori。今作のボーカルはBernie(where are you man?)となっている。
サンセットの情景を音で描き出しているような曲調。Bernieの渋く響く声が、より哀愁ある情感を映し出し、彼方へ沈む夕陽を想わせる。
5.Kosta Rodríguez feat. Amy – Gale in the Waterglass (My Love)
Kosta Rodríguezはドイツ出身、Matthias Wehrstedt(M.Mix)とNormen Schmidt(B.N.Magix)によるプロジェクト。ボーカルはAmy。
ダウンテンポなメロディに掛け合わされる、割とポップなボーカルもの。曲調は非常に落ち着いて、インストでも十分に美しい曲だろう。そしてボーカルもしっかりと存在感を放っている。
6.Alejandro de Pinedo – Sax 4 Sex
スペイン出身、Alejandro Gil Pinedo。テノールサックスにLucas Moreno、トランペットはIván del Castillo。ボーカルはRosa Ruiz。
印象的なサックス、トランペットがジャジーに響き、Rosa Ruizの艶かしいボイスが時折混じる。垣間聴こえるシンセ部分が、25周年の『Sex on the Beach』を思わせる。
7.Kotik – I See
ギリシャ出身のBoumpouridis KonstantinosとEleni。このアルバムでの登場回数はこれで4回目となる。
CD1に多数クレジットされている2人だが、こちらも名曲である。伸びやかなボーカルに、希望を感じさせる旋律。幸福感たっぷりなメロディ、Eleniのボーカルとのハーモニーが心地よく、盛り上がり部分では胸に込み上げるものがある。
8.Schwarz & Funk – Junto al Mar
ドイツ出身、Alexander Hitzler(Bob Schwarz)とMartin Czihal(Jesse Funk)、Joe T. Aykutによるプロジェクト。
暗闇が徐々に広がりそうな雰囲気の中に、哀愁を込めたギターが響く。陽の沈み切った海岸線が夜の闇に覆われていく様を思わせる。美しい夕陽が沈んでもすぐに明るい夜が始まり、楽しませてくれる。
9.Almadrava – Fly Away
ドイツ出身、Patricia LeidigとPedro Toro。シリーズ14からの登場。
寂しげなボーカルで進行していく曲。サンセットは寂しいものではないが、こういう気分の時もある。一人海を眺めて、物を思う。
10.Zaharamusic – Aire
スペイン出身、Fernando Marañon Sánchezによるプロジェクト。シリーズ14ではElmara名義でクレジットされている。
幸福感に満ちた曲作りとしては、Elmaraと変わらず。優しい光の中に存在する、当時の生活や街並みといったものが、黄金色に映し出されているようにも感じる。
11.The Birdstones – Closer
デンマーク出身、Ibizarre名義が最も有名なLennart Krarup。
海猫の鳴く海岸線を望む、こぢんまりとしたカフェを想像してしまう。古びたカフェはひと気が少なく、海で遊ぶ家族連れや老夫婦が散歩している。そんな鄙びた情景を穏やかなダウンテンポが心地よく包み、流行り廃りを超えた日常にある瞬間を映し出している。
12.J.R. Haim – Sueño de una Gaviota
セルビア出身、Jovan Rafael Haimによるプロジェクト。ギターはAleksandra Milutinovic。サックスはGabor Bunford。ピアノはLazar Milic。パーカッションはOgnjan Radivojevic。ベースにSasa Nikolic。ドラムにJovan Rafael Haim。
抒情的なバンド曲。非常にゆったりと、それぞれのメインパートをお互いが融合し合いながら、ジャジーな曲調にその景色をのせて心に届けてくる。派手さがない、滋味あふれる曲。
13.Fernando Marañón – Trocadero
再び、Fernando Marañon Sánchez。
ピアノメインに、やはり優しさで包み込むメロディが特徴的。大きな入道雲が立ち上る夕立の後の晴れ渡る街を高台から見ているような、澄み切った曲。
14.Atlan Chill – Interface
またまたFernando Marañon Sánchez。
ピアノソロから、珍しく電子的なメロディが入り込む。硬質な雰囲気かと思えば、すぐにシンセがいつもの温もりを奏で、またいつもの黄金色の空間へと連れ出してくれる。まるで少年時代の自分が走り回る様を見ているかのような、ノスタルジックな時間へとワープさせる。
15.Elmara – Skyline
またまたまたFernando Marañon Sánchez。
実はZaharamusic、Atlan Chill、Elmaraは全てFernando Marañon Sánchezによるもの。収録曲全てが同じ1つの長い曲のようで、見せる原風景も同じ・・・それは黄金色の夕陽に照らされた街。
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