2012年発表。コンパイラーはToni Simonen。過去のアルバムからの選出で、3CD仕様にまとめ上げている。さすがに選び抜かれた曲だけあり、当然ながら秀逸な作品ばかり。Café del Marの中で1枚聴いてみるというのなら、このアルバムがいいかもしれない。ただし、ある意味では完成しすぎている。2枚目以降には、ナンバリングや記念版では初収録となるものもある。
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1.Afterlife – Breather (Arithunda Mix)
VOLUMEN SIETE(7)より。
イギリス出身、Steve MillerのプロジェクトであるAfterlife。ミックスはオーストラリア出身のArithundaことErik Lloyd Walkoff(’04 没)とMarius Hansen。
Steve Millerの作る音楽は実に特徴的で洗練されており、どれもが心に響いてくる。原曲はややスローなテンポで、冬の山奥に点在する暖炉の灯ったロッジを思わせるが、Arithundaによるミックスでは大きく変化させてはいないが、水の音や自然の音を取り入れ、よりサンセットビーチを近く感じるものとなっている。
2.Vargo – Get Back To Serenity
Café del Mar Dreams 2に収録。
ドイツ出身のAnsgar Üffinkによるプロジェクト。ボーカルはStephanie Hundertmark。シリーズ9にはBruno LepretreとのLovers Laneで出演し、Vargo名義ではシリーズ10からクレジットされている。
やや冷感のあるジャジーなサウンドに、Stephanie Hundertmarkの少し低めながらもクリアなボーカルが叙情的に響く。哀愁を漂わせながら、都会の夜を思わせるロマンチックさをも感じさせる。
3.Gelka – Have You Kept Your Ticket?
VOLUMEN DIECIOCHO(18)より。
ハンガリー出身、Csaba KürtiとDömötör Sándorのデュオ。
シンセやギターサウンド、様々な環境音が混ざり合い、複雑なアンビエントミュージックを構築している。有形・無形な継ぎ接ぎを編み込むように、見事に音楽へと昇華されている。あらゆるシーンで聴ける雰囲気を持つ曲調が、時間を超越している印象をもたらす。
4.Deep & Wide – Castillos De Arena
Café del Mar Dreams 2に収録。
フランス出身のBruno Lepretreと、Ibizarre名義で知られるデンマーク出身のLennart Krarupによるプロジェクト。Brunoはシリーズ7からコンパイルを担当していた。
気だるい夏の午睡を思わせ、潮風を纏った気温が体に絡みつくようなトリップサウンド。穏やかでスムースなメロディにギターが囁くように重なり、またまどろみを覚える。
5.Quantic – Time Is The Enemy
VOLUMEN NUEVE(9)より。
イギリス出身のWill George Hollando。トロピカル、クンビア、サルサ、ボサノヴァ、ソウル、ジャズをスタイルとする。the Quantic Soul Orchestraとしても活動。
ジャジーなサウンドを基調に、左右に流れるピアノや重めのドラムが心地よいダウンテンポを構築。海沿いのジャズバーで生演奏を聴きながら、時間を忘れてグラスを傾けるような、大人の夜を演出してくれる曲。
6.M-Seven – Invisible
VOLUMEN ONCE(11)より。
カナダ出身のMaurizio Nalli。’06年のJPFミュージックアワードで最優秀賞を取っている。また、カナダ版グラミー賞でもあるジュノー賞では3回ノミネートされている。
無限に広がる宇宙の深淵に足を踏み入れるかのような感覚を呼び起こす。ダウンビートであり、神秘さを思わせるアンビエントな音使い。
7.Hibiki Connection – Cha-Ka-Too(Sunset Mix)
Café del Mar Dreams 3に収録。
日本人アーティスト、DJ VANNE(桑原秀幸)と下村篤によるユニット。特にこのSunset mix は数多くのアルバムにコンパイルされており、Café del Marの姉妹シリーズとも言われるREAL IBIZA 7(’04発表)が先に収録している。
そのゆるやかでリッチなサウンドが、優雅に泳ぐ海亀や南国の風景を想起させる。フルートの音が鳥の鳴き声のように高らかに響き、ギター、ピアノ、パーカッションのオーガニックなサウンドが優しいハーモニーを織りなしている。
8.ReUnited – Sun Is Shining
VOLUMEN QUINCE(15)より。
デンマーク出身、Christian RosénとJesper Hjersing Sidelmann。Jesper Sidelmannはシリーズ9のKalliopeの片割れである。ボーカルにデンマーク出身のソウル歌手でグラミー賞最優秀賞ノミネートのDaniel Sitrit。原曲はボブ・マーリーの『Sun is Shining』。
いよいよ、名曲をミックスして売り出していくスタイルしか無くなったか・・・と思わせ、その落胆をちゃんと裏切ってくれる出来となっている。厳かさを表現するスパニッシュギターの旋律に、Daniel Sitritの甘くも掠れた歌声が曲に深い感情を吹き込んでいる。
9.Miro – Holding On
VOLUMEN ONCE(11)より。
デンマーク出身のMads ArpとSteen Thøttrup。Gary B(Gary Frederick Butcher)と、ボーカルにJulie Mary Harringtonが参加。
静かなイントロが、やはりどこか北欧のもつ冷涼なイメージを彷彿とさせる。切なく響くボーカルが、心の奥に潜む感情を静かに揺さぶるような曲。
10.Moby – Lie Down In Darkness (Ben Hoo’s Dorian Vibe)
VOLUMEN DIECIOCHO(18)より。
アメリカ出身、Richard Melville Hall。エレクトロニカやアンビエント、トリップホップ、オルタナティブロックなどをスタイルとしている。厳格な菜食主義者で、動物愛護活動家、ドラッグを摂取しないことでも知られる。好きな映画監督は北野武。そしてなんと、曽々おじは『白鯨』を書いたハーマン・メルヴィルであり、彼のMobyはそのクジラの名前に因んでいるという。ボーカルはJoy Malcolm。ミックスはイギリス出身のBen Hoo。
ダウンテンポで洗練されたナイトラウンジを感じさせる。ソウルフルでクリアーなJoy Malcolmの歌声に、ジャジーに重なるリズムが、しっとりとした情景を描いている。大都市の夜景を高層階から望むようなラグジュアリーさがある。
11.Lux – 100 Billion Stars
VOLUMEN OCHO(8)より。
イギリス出身、Steve MillerとJames Brightによるプロジェクト。
バイオリンの音色が美しく響き渡り、夜空に輝く無数の星々を彷彿とさせる。Steve Millerらしい、やや硬質で冷たい音が堪能できる。眠らない街イビサでも、明かりを消せば1,000億の星が見えるのだろうか。それとも地上に輝く光を指しているのだろうか。星空とイビサの街のコントラストを描いたような幻想的な一曲に仕上がっている。
12.Tiny Tunes – Will You Catch Me
VOLUMEN OCHO(8)より。*UKバージョンのみの収録。
Christian SteigerとPeter Fischer。ラウンジ、ニュージャズ、アンビエントをスタイルとする。シリーズ11にはTACTFUL名義で参加している。
ビートを効かせながら、ダウンなムードを持ったハウスにクラップや独特な旋律が加わり、エスニックさを感じさせる複合的なサウンドとなっている。アンビエントでありハウスらしさも持ち、必要以上に気分を揺さぶらない絶妙なニュートラル感を持つ。
13.Steen Thottrup – Heading For The Sunrise (Sunset Mix)
VOLUMEN TRECE(13)より。
デンマーク出身のプロデューサー、Steen Thøttrup。Annette Bergとともにボーカルも務めている。
Annette Bergのややハスキーで厳かな歌声が、ヤスリのように感情を撫で上げる。冷たさすら感じさせるボーカルやピアノ、シンセサイザーの曲調が、北欧独特のサンセットの雰囲気を豊かに表現している。
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