The Very Best Of Café del Mar Music③

音楽/Music

2012年発表。コンパイラーはToni Simonen。過去のアルバムからの選出で、3CD仕様にまとめ上げている。さすがに選び抜かれた曲だけあり、当然ながら秀逸な作品ばかり。Café del Marの中で1枚聴いてみるというのなら、このアルバムがいいかもしれない。ただし、ある意味では完成しすぎている。2枚目以降には、ナンバリングや記念版では初収録となるものもある。

*過去収録曲はほぼ同じコメントとなります。

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1.Deep & Wide – Seven Seas 

Café del Mar 20th anniversaryより。

フランス出身のBruno Lepretreと、デンマーク出身のIbizarreことLennart Krarupによるプロジェクト。

世界海洋、グローバルオーシャン・・・そのつながる海路を、海中を泳ぐ何ものかになって進んで行くように感じる。浮上すると見える景色や水温、水色、透明さや波の強さが曲調となって表現されているようだ。

2.Soft Wave – Plenitude Part 2

VOLUMEN NUEVE(9)より。

イギリス出身のBernard LermitとBob Templarからなる。ダブ、ダウンテンポ、アンビエントをスタイルとする。Soft Wave名義ではシリーズ9、Kinema 名義ではシリーズ10に登場している。

薄明の光が海底へ差し込むような音のイメージが、寂しさや侘しさを掻き立てているように感じる。浜辺を一人歩き、内省的な思いに耽りながら見上げた夜空には無数の星が輝き、次第に自身がその闇と光点に包まれるかのような錯覚を覚える。

3.Rue Du Soleil – Dreaming Of… 

Café del Mar Dreams 2に収録。

Alfonso Bianco, Dragan Jakovljevic, Yavuz Uslu, Claudio MontuoriとAndia Bischof-Foehrによるプロジェクト。

穏やかなアンビエントトラックが、まさに夢心地にさせる。夢現のまま柔らかい砂地に足跡を残し、夕陽色の波を眺めながら彼方の船を見つめる。やがて喧騒から隔離され、耳を澄ますと心の声が語りかけてくるかのような、不思議な感覚になる。

4.Substructure – Firewire

VOLUMEN DIEZ(10)より。

イギリス出身のPaul RogersとChris Gainerによるプロジェクト。

ダークでプログレッシブなサウンドが、荘厳な雰囲気を纏い、まるで廃墟になった大聖堂に足を踏み入れるかのような緊張感を覚えさせる。重厚なサウンドが神秘さをも内包しており、聴く者を深い沈黙の中へ引き込むよう。

5.Single Cell Orchestra – Transmit liberation

Café del Mar 20th anniversaryより。

アメリカ出身、Miguel Angelo Fierro。ハウス、アンビエント、トリップホップをスタイルとする。本曲はアンダーグラウンドクラシックとなり、トリップホップの先駆けとも言われる。

トリップホップの発展に影響を与えた一曲とされているだけあり、ディープなイントロからダウンなアンビエントが展開される。大きな起伏はなく、バックグラウンドミュージックのようにさりげない演出が施されている。

6.Jens Gad – Art Nouveau 

VOLUMEN ONCE(11)より。

ドイツ出身のJens gad(イェンス・ガド)。かつてはエニグマと共同プロデューサー、ゲストギタリストとして10年に渡り活躍した。

ダウンテンポでスモーキー。盛り上がりを抑えた静かなトーンが、聴く者に優しく寄り添ってくれる。ギターの独特な旋律がどこか歌声のように響き、何かメッセージを伝えてくるよう。派手な音を描かないこういった曲調が、熱くなった体や心を冷ましてくれる。

7.Blank & Jones – Desire

VOLUMEN NUEVE(9)より。

ドイツ・ケルン出身のJan Pieter BlankとRené Patrick Rungeの2人からなる。エレクトロニカ、トランス、ダウンテンポをスタイルとする。Blank & Jonesはトランスでも非常に名高いが、独自の「Relax」シリーズの作成など、アンビエント・チルアウトでも非常にレベルの高い曲を制作している。

今作もアンビエントミックスとして、原曲とは全く違うチルアウトに昇華させている。ビートレスで幽玄な笛の音とシンセサイザーが絡み合い、遥かな大洋を想起させる不思議さがある。

8.Luminous  – Hold On

Café del Mar Dreams 3に収録。

イギリス出身、Gary Butcher。ボーカルはJullie Harrington。

ゆったりとしたビートに、ギターとサックスがそれぞれの個性を持ちながら巧みに調和している。サンセットの彩の変化を眺めるだけの贅沢な時間。時に癒され、時に慰められ、またある時には内省的な感情を呼び起こされる。

9.Bliss – Sleep Will Come

Café del Mar Dreams 3に収録。

デンマークを拠点とする、Steffen Aaskoven、Marc-George Andersonを中心に、ボーカルのAlexandra Hamnede、共同作曲者のTchandoによるプロジェクト。

尋常になく美しくも危うさを感じさせる曲。イントロの弦楽器の旋律が、悲哀や哀愁といった負の感情を倍増させるような引力を感じさせ、その危うさゆえにどこか死生観を意識させる。テンポアップする展開もあるが、己を見つめさせる不思議な力からは逃れられないだろう。

10.Sonic Adventure Project – Fourty-two

Café del Mar Dreams 2に収録。

オーストリア出身、Peter KoellererとThomas Viehboeck。シリーズ11に登場。

静かに聴こえる心臓の拍動をイントロに、シンセとピアノが儚い旋律を奏でる。プログレッシブさを持ちながら、決して大袈裟な展開にはせず、どこか日の出のような光明を思わせるメロディ。

11.Kinobe – A Small Island

Café del Mar TERRACE MIXに収録。

イギリス出身、Julius WatersとDave Pembertonによるプロジェクト。

ピアノが美しく響くクラシカルなサウンド。まるで湖面に浮かぶステージでの演奏を思わせ、ピアノやダウンビートに合わせて波紋が広がるような感覚を思わせる。クールな曲調だが、落ち着かせ過ぎない展開が心地よい。

12.Mr. Swen G* Feat. Inusa  – Morning Light (Coffee Shop Remix)

VOLUMEN NUEVE(9)より。

ドイツ出身、Swen Gutknecht。ボーカルには、ガーナ出身Inusa Dawuda。

波の音とギターの音色に導かれ、Inusaのかすれたボーカルが感傷的に響く。朝の光が差し込む瞬間のような透明感に満ちた曲調が、キラキラと輝く素晴らしい一日が始まる予感を抱かせる。

13.Nacho Sotomayor – Café del Mar
Café del Mar Dreams 1に収録。

スペイン出身、Ignacio Sotomayor Román。シリーズ10にクレジット。

夜明けのような光を感じる曲。静かなイントロから始まり、やがて爽やかに高鳴るメロディのサックスやビートが心にかかっていた靄を晴らし、どこまでも広がる青空と海の景色を見せてくれる。

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