2014年に発表されている、謎のコンパイル19バージョン。こちらも前作18と同じく、R.G.B名義でRamón Guiralがコンパイルを担当。Ramón GuiralはCafé del Marの創始者の1人。今作はさらに同一アーティストが増え、完成度も高まっている。
なぜR.G.B.版のナンバリングが生まれたか。
創設者の一人であるRamón Guiralがブランド商標を単独で登録したことを契機に、他の創設メンバー(José Les、Carlos Andrea)との間で権利関係の整理が進められた経緯がある。この過程でブランド運営や音楽制作の主導が分岐し、コンピレーションにも複数の系譜が生まれた。
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※本件の背景については海外メディアでも報じられており、
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詳しく知りたい方はこちらをご確認ください(英語記事)
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CD1
1. The Leon Project feat. Liona Gilad Hotta – Picasso In Love
スペイン出身、Jesús LeónとPaco León兄弟によるプロジェクト。ワールドミュージック、ラウンジ、ニューエイジを融合したスタイル。ボーカルを務めたのは、イスラエル出身のLiona Gilad Hotta。
開幕を非常に繊細なピアノの音色で彩られ、すぐに心を奪われる。そしてまた、胸に響くスパニッシュギターと絡み合い、やがてLionaの芯のある歌声が溶け合う。地中海の夕景をゆっくり染め上げていく様をありありと思い描ける魔力。
2. Michael Hornstein – Alehia
ドイツ出身のサックス奏者・作曲家のMichael Hornstein。ジャズ、アンビエント、ラウンジを横断するスタイル。
サックスの音色が語りかけるように、空へと溶け込んでいくよう。穏やかな雰囲気は、海の見えるベンチに腰をかけてその演奏を眺めているよう。
3. Gary B – Follow Me Baby
イギリス出身、Gary Frederick Butcher。個性光るバレアリックチル で知られ、Café del Marシリーズでも常連であり、信頼のおける存在となっている。メタデータではGary B Lovestoneと表記されている。
飾り立てない自然体の歌声が魅力で、“海辺の日常”を感じさせるような温かい楽曲を多く残している。波音に混ざるようなアコースティックギターが、ゆっくりと心をほどいていく。決してドラマチックではないのに、その素朴さが妙に胸へ残る。旅先で偶然出会った夕暮れの景色のように、何気ない美しさを持った楽曲だ。
4. AliaS – Eternal Spring
Raha MedzhidovとIlia Tsvetkovを中心としたチル・アンビエント系プロジェクト。ロシア〜東欧圏の電子音楽シーンとの接点がうかがえ、ジャズ、ボサノヴァ、アンビエントを融合した柔らかなサウンドを特徴とする。Café del Mar をはじめとしたヨーロッパ系ラウンジ文脈でも紹介された。
電子音を交えながらも有機的な温もりを感じさせる作風が特徴で、自然や季節感を想起させる楽曲タイトルも多い。柔らかな木漏れ日の中を歩いているような、穏やかな浮遊感に包まれる。淡いシンセと繊細なビートが、春風のように優しく身体を通り抜けていく。慌ただしい時間を忘れ、“何もしない贅沢”へ身を委ねたくなる一曲。
5. The Leon Project – Samsara
スペイン出身のJesús LeónとPaco León兄弟によるプロジェクト。ワールドミュージック、ラウンジ、ニューエイジを融合したスタイルで知られる。
民族音楽的な空気感と、現代的なチルアウトサウンドを自然に融合させる作風が特徴で、精神性や旅情を感じさせる作品を数多く残している。
ポップな開放感を持ち、晴れやかな午後を思わせる。ひと泳ぎしてから、ベッドに深く沈み込むような心地よさ。サンスクリット語で「流転」を意味する“Samsara”というタイトルどおり、終わりのない循環を音で描いているよう。
6. Andrea Cardillo – Missing Marbella
イタリア出身、Andrea Cardillo。シンガーソングライター・作曲家。8歳からピアノを始め、音楽院F.モルラッキで古典ギターを修得。2003年のデビューEPでゴールドレコードを獲得し、その後はRAIやMediasetのテレビ音楽制作でも活躍。2010年代以降はBuddha Bar、Café del Marなどラウンジ/チルアウトシーンにも多数楽曲を提供している。
白い街並みと、夕陽に染まる海風を思わせるノスタルジックな一曲。
夏の終わりを見送るような切なさが、楽曲全体を優しく包み込んでいる。決して大げさではないのに、心の奥へ静かに余韻を残していく。
7. Gitane feat. Koo – Suite Lounge (Paulina & Co Mix)
Gitane は P Capeda、M Landquist、F Garcia、S Aadnekvam、N Romanov による多国籍ヨーロッパ系プロジェクト。詳細なプロフィールはほとんど公開されていないが、スペイン〜北欧圏のクリエイターが関わった可能性が高い。ボーカルのKooは本名Kate Read。ミキサー詳細不明。
感情をそっと撫で上げる、スパニッシュギターの旋律が印象的。陽が落ちて徐々に暗がりになってゆく中、静かにグラスを傾けて聴いているような感覚。艶やかなリズムの奥に、どこか影を帯びた大人の空気が漂う。
8. D.A.B. – Dellicious
スペイン出身、Luis Sancho(DJ Positive)とPedro AndreuによるDigital Analog Band。2003年結成。トリップホップ、アンビエント、ダウンテンポ、フラメンコ、ジャズ、ダブ、ボサノヴァを横断する独自のスタイルを構築。
気取っているわけではないのに、どこか上質な余裕を感じさせる音。海辺のカフェテラスに吹き込む風のような、爽やかな心地よさに満ちている。中盤の旋律が、ChicaneやTangerine Dreamのもつ遥かな青い沖合を想起させる。
9. Deep Josh & José Rodriguez feat. Josephine Sweett – I’m Here
スペイン出身、Josué García Bermejo。ディープハウス、ラウンジ、バレアリックを軸に活動している。同じくスペイン出身のプロデューサーJosé Antonio Rodríguez Navarroはラテンハウスやチルアウト作品への参加で知られる。ボーカルはスウェーデン出身のシンガー、María Josefa Hortelano Dolz。
ゆったりと街中を散歩するような陽気さや長閑さを持つ曲。ポップながら、流れる音はスペインのその街を思わせる。陽が傾き始める、なんとも言えない移ろいを感じながら、一歩ごとに見える景色が美しく思えるだろう。
10. Andrea Cardillo – Chic
イタリア出身、Andrea Cardillo。シンガーソングライター・作曲家。8歳からピアノを始め、音楽院F.モルラッキで古典ギターを修得。2003年のデビューEPでゴールドレコードを獲得し、その後はRAIやMediasetのテレビ音楽制作でも活躍。2010年代以降はBuddha Bar、Café del Marなどラウンジ/チルアウトシーンにも多数楽曲を提供している。
タイトルどおり、洗練された都会の空気を纏った一曲。軽やかなリズムの中に、イタリア音楽らしい色気と優雅さが漂う。高級ホテルのテラスラウンジから夜景を眺めているような、美しい余裕を感じさせる。
11. The Leon Project feat. Liona Gilad Hotta – Easy Life
スペイン出身、Jesús LeónとPaco León兄弟によるプロジェクト。ワールドミュージック、ラウンジ、ニューエイジを融合したスタイル。ボーカルを務めたのは、イスラエル出身のLiona Gilad Hotta。
か細くすら聴こえる繊細なギターの音色が、ややアップテンポな曲調に後押しされて踊り出すように、切なくも熱い感情が溢れ出すよう。宵の口、おしゃれなバーから聴こえてくる音に誘われて足を向けてしまいそうだ。
12. Clelia Felix – Follow The Blue Star
フランス出身、Clelia Felix。ラウンジ、ボサノヴァ、チルアウトを背景に持ち、透明感のある歌声と幻想的な表現力で知られている。ヨーロッパ系ラウンジコンピレーションへの参加も多く、夢見心地な空気感を演出するボーカリストとして評価されている。
青い星を追いかけながら、夜空を漂っていくような幻想的な一曲。透き通るボーカルと柔らかなシンセが、美しく溶け合っている。現実から少し離れた場所へ連れて行ってくれるような、優雅な浮遊感が心地よい。
13. Oliver Hahn & Michael Hornstein – Lunaris
ドイツ出身のプロデューサー/キーボーディストのOliver Hahn はラウンジ、アンビエント、ジャズを融合した洗練されたサウンドで知られている。Michael Hornsteinはドイツ出身のサックス奏者・作曲家。ジャズ、アンビエント、ラウンジをスタイルとする。
海面に映る月の揺らぎのような、静けさや神秘さを持つ曲。夜は更けたが、まだ眠れない。夜風に当たりながら、外を眺めてもひと気はない。寝酒のウイスキーを片手に、夜の気温を体に感じる時間。
14. Alexandra – Thank You
チェコ出身、René RyparとJan Martinekによるプロジェクト。映画音楽的な叙情性とヨーロピアン・ラウンジ感覚を併せ持つ楽曲を制作している。
1日の終わりを優しく包み込む、色気のあるサックスに浸る。少し怪しげなムードを漂わせつつ、夜の街を走るドライブのような疾走感もあり。もう少しだけ起きていたい、何かを感じていたくてハンドルを握っているようだ。
CD2
1.Gitane feat. Natasha Romanov – Abrázame (Smoking Love Mix)
GitaneはP Capeda、M Landquist、F Garcia、S Aadnekvam、N Romanovらによるプロジェクト。ボーカルはNatasha Romanov。
スパニッシュなムードとウィスパーな音が溶け合っている。 夕暮れの温度だけを切り取ったような質感で、近づくほどに輪郭が少しずつぼやけていくような距離感が残る。
2.AliaS – Fading Time
Raha MedzhidovとIlia Tsvetkovを中心としたチル・アンビエント系プロジェクト。ロシア〜東欧圏の電子音楽シーンとの接点がうかがえ、ジャズ、ボサノヴァ、アンビエントを融合した柔らかなサウンドを特徴とする。Café del Mar をはじめとしたヨーロッパ系ラウンジ文脈でも紹介された。
ミニマルなビートと空間的なシンセで構成され、時間そのものの輪郭を曖昧にしていくような設計が特徴。 音が消えるのではなく、少しずつ薄れていくことで、時間という概念自体が感覚からほどけていくような感触が残る。
3.Clelia Felix – Searching For the Sun
フランス出身、Clelia Felix。クラシックピアノを基盤に、エレクトロニカ、アンビエント、ダウンテンポ、エスニック要素を融合した映画的サウンドを制作している。
ピアノとシンセを中心に、光を探す行為そのものを音楽化した構成で、明確なゴールよりも”探し続けること”に重心が置かれている。 届かない光ではなく、まだ消えていない光の気配をなぞるように進んでいく音楽。
4.Stefano Carpi feat. Mary Loscerbo – Easily
イタリア出身のDJ/プロデューサー。ボーカルを務めたのは同じくイタリア出身、Mary Catherine Loscerbo。ラウンジ、ディープハウス、チルアウト領域で活動し、滑らかな女性ボーカルを活かした作品を多く制作している。
ミニマルなハウスグルーヴの上に、柔らかなボーカルが自然に溶け込み、空間全体を静かに整えていくような構成になっている。 何かを押し出す音楽ではなく、少しずつ緊張をほどいていくための音楽。
5.La Unión vs. Gitane – Sildavia (Final Destiny Mix)
La Unión は、1982年にマドリードで結成されたスペインのニューウェーブ/ポップロック・バンド。メンバーはRafa Sánchez、Luis Bolín、Mario Martínez、Íñigo Zabala。スペイン80年代ポップを代表する “Lobo Hombre en París” のヒットで知られる。GitaneはP Capeda、M Landquist、F Garcia、S Aadnekvam、N Romanovらによるプロジェクト。
ダークなコード進行とドラマティックな展開が特徴で、終末的なタイトルを持ちながらも、どこか”続いてしまう余韻”を残す構成になっている。 終わりを描いているはずなのに、夜の境界線だけがわずかに揺れている。
6.The Leon Project feat. La Negra Mayte – Loca Serenissima
スペイン出身のJesús LeónとPaco León兄弟によるプロジェクト。ワールドミュージック、ラウンジ、ニューエイジを融合したスタイルを展開している。La Negra Mayteはラテン系ボーカル参加型アーティストとしてコンピレーション作品で知られる。
ラテン的な情熱と静けさが同時に存在し、感情の振れ幅を外に出さず内側で揺らすような構造を持っている。 狂気と静謐が同じ空間に共存し、そのまま溶けていくような均衡が続いている。
7.AliaS – Whiskey & Wishes
Raha MedzhidovとIlia Tsvetkovを中心としたチル・アンビエント系プロジェクト。ロシア〜東欧圏の電子音楽シーンとの接点がうかがえ、ジャズ、ボサノヴァ、アンビエントを融合した柔らかなサウンドを特徴とする。Café del Mar をはじめとしたヨーロッパ系ラウンジ文脈でも紹介された。
アルコールの揺らぎと願いの曖昧さが重なり合うダウンテンポトラックで、ビートは控えめに設計されている。 現実と夢の境界が少しずつほどけていき、夜の深度だけが静かに増していくような感覚が残る。
8.Gitane feat. Natasha Romanov – Live And Learn (Del Mar Mix)
GitaneはP Capeda、M Landquist、F Garcia、S Aadnekvam、N Romanovらによるプロジェクト。ボーカルはNatasha Romanov。Natasha Romanovはボーカル参加型アーティストとして活動している。
柔らかなボーカルと抑制されたビートが融合し、海辺の時間経過そのものを音にしたような構造になっている。 “学ぶ”というより、”受け入れていく”という感覚がゆっくりと広がっていく。
9.Stefano Carpi – Unforgettable Day
イタリア出身、Stefano Carpinellaと共同プロデューサーにSandro Bartolozzi。
ピアノとアンビエントシンセを中心に構築されたインストゥルメンタルで、記憶の断片を静かに再構成していくような構造になっている。忘れようとするほどに浮かび上がる”ある一日”が、音としてゆっくりと再生されていく。
10.Bright Sun Spirit – Summer Dream
フランス出身、Clelia Felixによるプロジェクト。ピアノを基盤に、エレクトロニカ、アンビエント、ダウンテンポ、エスニック要素を融合した映画的サウンドを制作している。
明るいタイトルとは裏腹に、現実の夏ではなく”記憶の中の夏”を描いたような浮遊感を持つ作品。 光の粒がゆっくりと滲みながら、時間そのものが柔らかく溶けていくような感覚が残る。
11.Solaris Navis – Believe In Another Chance
フランス出身、Clelia Felixによるプロジェクト。アンビエントとダウンテンポを基調に、海というモチーフを内面的に再構築している。
海そのものを描くのではなく、海を見ている”意識の静けさ”を音に変換した構造。 波のように繰り返される音が、思考を少しずつ遠くへ運んでいく。
12.Gary B – For Real Mix
イギリス出身、Gary Frederick Butcher。個性光るバレアリックチル で知られ、Café del Marシリーズでも常連であり、信頼のおける存在となっている。メタデータではGary B Lovestoneと表記されている。
現実感を一瞬だけ強めながら、その輪郭をすぐに再び曖昧にしていくようなビート構成。 触れたはずの現実が、次の瞬間にはもう少し柔らかい夢へと変わっている。
13.Bright Sun Spirit – Song Of The Sea
フランス出身、Clelia Felixによるプロジェクト。アンビエント/エレクトロニカを基盤にした海をテーマとするチルアウトトラック。 音の一つ一つが波のように重なり合い、時間の流れを水平的に広げていく構造になっている。 海を”聴く”というより、海の中に”思考が沈んでいく”ような感覚が続く。
14.Solaris Navis – Silver Moon
フランス出身、Clelia Felixによるプロジェクト。アンビエントとダウンテンポを基調に、海というモチーフを内面的に再構築している。
シリーズの終幕を担うアンビエントトラック。 月光を照らすものとしてではなく、ただそこに存在する静かな気配として描いている。 夜の最後の温度がゆっくりと冷えていく中で、意識だけが遠くへ漂っていくような余韻が残る。

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