2018年発表。コンパイラーはToni Simonen。ジャケットは真っ白な背景に、白く美しい貝殻を大きく映し出している。Ibizaの空気を強く感じさせるオーガニックサウンドとでもいうべきか、トライバルなサウンドがやや多いような印象。CD1は「SUNSHINE MIX」、CD2は「SUNSET MIX」となっている。
CD1
1.Nightmares On Wax – Back to Nature(Edit)
イギリス出身、George Herbert Evelynによるプロジェクト。ダウンテンポ、トリップホップ、ダブ、ソウルをスタイルとする。幼い頃から自作サウンドシステムを段ボール箱と拾ってきたスピーカーで組み立てたという逸話が残る。1995年の『Smoker’s Delight』がチルアウト/ダウンテンポの名盤として広く評価される。
土の香りを思わせるようなハミングボイス、そして緩やかに流れてくるトリップホップのスモーキーな風。タイムラプスで雲が流れていくのを眺めているよう。
2.Khruangbin – August 10
アメリカ出身、Mark Speer、Laura Lee Ochoa、Donald “DJ” Johnson Jr.で構成。MarkとDonaldはヒューストンの教会ゴスペルバンドで出会い、LauraはSpeerを通じて2007年に加入。バンド名はタイ語で「飛行機」を意味し、Lauraがタイ語を学んでいた頃に命名した。1960年代タイ・ファンク、アフガン音楽、フラメンコなどを吸収した無国籍なサイケデリック・ファンクをスタイルとする。
やや明るめのゆったりと浸れるファンクのグルーヴ。気だるい夏の宵に汗ばみながら砂浜に腰をかける。モヒートを口に含み、ミントの爽やかな芳香を体に巡らせるひととき。
3.The Elder Statesman, Lord Echo – Trans-Alpine Express
ニュージーランド出身、Christopher YeabsleyとDaniel Yeabsleyの双子によるThe Elder Statesman。
同じくニュージーランド出身のLord Echo(Mike Fabulous/Michael August)がパーカッション・ドラムスを担当し、ジャズトリオとしてクレジット。Lord EchoはThe Black Seedsのベーシストとして15年間活動した後にソロ活動を開始し、ファンクを軸にレゲエ、ディスコ、アフリカ音楽を融合する独特のスタイルを持つ。
重厚なジャズセッション。薄暗い会場が人の熱気で満ちている。座って優雅に聴くよりも、気取らずに酒を片手に立って耳を傾けたい。
4.Jex Opolis – Human Emotion (Original Mix)
カナダ出身、マルチ奏者でDJのJered Phillip(Jered Stuffco)。ヌーディスコ、シンセポップ、ディープハウスの境界を行き来する独自のスタイルで、本作収録の「Human Emotion」がその名刺代わりの一曲となっている。
ディスコチックでクセの強いボイスが印象的。ポップな一面とディープな曲調が奇妙に溶け合う。最初はそのクセに眉を顰めるが、いつしかその味わいに取り憑かれる。
5.Garden City Movement – Santal
イスラエル出身、Roi Avital、Joe Saar、Johnny Sharoniの3人組エレクトロニック・インディポップバンド。当初は顔を公開せず音楽だけで話題を集め、2013年にClash誌で初めて顔を公開。チルウェイヴとトリップホップの影響を受けた繊細なサウンド。
遠洋の穏やかな波を思わせながら、どこか力強さを秘めている。日差しと潮風を受けた波の反射が、攻撃的なほどにまっすぐに降り注いでくる。
6.DJ Day – Chinaski’s Theme
アメリカ出身、Damien Beebe。クリスマスプレゼントの一体型ターンテーブルでDJプレイを覚え、13歳から手作りのDJ機材で音楽を始めた。1995年にDJ Rip OneとInnernational Crewを結成。ヒップホップ、ジャズ、ファンク、ソウル、エレクトロニックを横断するマルチ奏者。ターンテーブリズムと生演奏を組み合わせた独自スタイル。
トリップホップの艶めかしさと硬派なサウンドが心地よく混ざり合う。短い曲ながら、中休みなど許さない密度がある。
7.Jon Kennedy – Twilight
イギリス出身、Jonathan Kennedy。父親の地下室の4トラックレコーダーとベースギターから音楽制作を始め、2002年にGrand Central Records(マンチェスター)と契約。ダウンテンポ、ブレイクビーツ、エレクトロニックのシーンで活動。レーベル「The Jon Kennedy Federation」を主宰。
しっとりと落ち着いた雰囲気である、都会の夜の灯火。その様子を離陸した飛行機の窓から眺めるような心持ち。また、それを夜の高速を走る車窓から見上げるようでもある。
8.Engine-EarZ Experiment, Kate Havnevik – Blue Moon (Kinobe Remix)
イギリス出身、Prash Mistry率いるプロジェクト。エレクトロニック/ダブステップ/ワールドの融合が特徴。
Kate Havnevikはノルウェー人シンガー・ソングライター・作曲家。リバプール・インスティテュート・フォー・パフォーミングアーツで作曲と音楽制作を学ぶ。エレクトロニカとトリップホップを基調としたデビューアルバム『Melankton』(2006)がGrey’s AnatomyやThe O.C.に使用されて注目される。
リミックスを担当したKinobeは、イギリス出身のMark BlackburnとJulius Watersによるエレクトロニックグループ。「Slip Into Something More Comfortable」でチルアウトブームの時代に知名度を上げた。
夜の青い月、だろうか。まだ眠らない時間、21時を過ぎてもまだ明るさが残るような不思議な時間にいるよう。街の熱は引かず、雑踏はより賑わう。クールダウンしながら、酒を酌み交わし楽しむ夜。
9.Elder Island – Welcome State
イギリス出身、Kathlin Kennard Sargent、Luke Thornton、David Peter Troy Havardの3人組。元々Trouvailleというオーディオビジュアルプロジェクトとして始まり、フォークから徐々にインディ・エレクトロニカ、ハウスへと発展。BBC Radio 6でのオンエアで注目を集めた。
フォークの繊細さがエレクトロニクスの中で息をしている。声と音の境界が曖昧になり、そのまま水面の下へ招き入れられるような心地よさがある。
10.Maricopa – Sun Scope
イギリス出身、Timm SureとRichard Hampsonによるプロジェクト。レーベル『Is It Balearic? Recordings』を立ち上げたバレアリック/メロディック系ユニット。Coyoteという名義でも活動している。
メロディカの深い呼吸が全体を包み、ゆっくりと膨らんでいく。バレアリックの陽だまりそのもののような一曲で、何も足さず、何も引かない潔さがある。
11.Izo FitzRoy – Skyline (Kraak & Smaak Badlands Remix)
イギリス出身のシンガー・ソングライターのLady Isobel FitzRoy。James FitzRoy、Earl of Eustonの娘であり、12代Grafton公爵の姉妹という貴族の家系の出身。祖父がジャズピアニストで、幼少期からピアノを学ぶ。Bill Withers、Otis Redding、Janis Joplinに影響を受けたゴスペル・ソウル系の力強い歌声が特徴。グラスゴー大学で学んだ後、ニューオーリンズで活動した経験を持つ。
リミックスを担当したKraak & Smaakは、オランダ出身、Oscar de JongとMark Kneppers、Wim Plugによるプロジェクト。ファンク、ソウル、ディスコをスタイルとする。
貴族の血筋に宿ったブルースの声。リミックスによってゴスペルの熱い血がファンクの骨格に注ぎ込まれ、夕暮れのスカイラインが赤く染まっていくような高揚感を持つ。
12.Gacha Bakradze – Gather
ジョージア出身のプロデューサー・DJのGacha Bakradze。繊細な電子メロディーとギターラインをスキタリングなテクノ・IDMビートに織り交ぜた独自サウンドで知られる。出身地域であるトビリシの著名クラブ「Left Bank」の共同創設者でもあり、クリエイティブコミュニティの拠点づくりにも携わる。
どこか懐かしさを感じさせる旋律から、壮大な大海原が広がっていく。やがてエスニックなボイスが、熱い風を纏って包み込んでくる。
13.Washed Out – Face Up
アメリカ出身、Ernest Weatherly Greene Jr.。チルウェイヴ、ドリームポップの代表的アーティスト。2009年にEPをリリース後、テレビ番組「Portlandia」のオープニングテーマ「Feel It All Around」で広く知られる。Sub Popと契約後のデビューアルバム『Within and Without』(2011)がBillboard 200で26位に。
石鹸の香りのような、清潔なサウンド。そこへ静かに化粧が施されていく。誤魔化すためではなく、魅せるための装飾。
14.Blue States – Alight Here
イギリス出身、Andy Dragazis。1997年から活動。2002年のアルバム『Man Mountain』収録の「Season Song」がホラー映画『28 Days Later』のサウンドトラックに使用されたことで知名度が上がった。トリップホップ、ダウンテンポ、実験的エレクトロニカのスタイル。
冷ややかな感触の指先が肌を撫でるような曲調。だが、その内なる深みにどっぷりと浸ることができる。沈み込むベッドに身を預け、眠りへと意識が落ちていく時間。
15.40 Winks – Melancholia (Bonus)
ベルギー出身、PadmoとWeedyによるインストゥルメンタル・ヒップホップ/ジャズラップ/ダウンテンポデュオ。2002年結成。グループ名は「『to take forty winks(仮眠をとる)』という慣用句に由来し、彼らの音楽を聴くことが『くつろぎ』を意味する。
古めかしいラジオから流れる、ラウンジ色の強い作品。伝統あるホテルを思わせる荘厳な空気。その掠れたボイスが情感を演出し、聴衆を魅惑する。
16.Mark Pritchard – Sad Alron
イギリス出身。母親が毎週7インチ盤を買ってくれた家庭で育ち、スカ、2トーン、インディ、ロックを経てデトロイト・テクノとシカゴ・ハウスに傾倒。トーントンのクラブでTom MiddletonとRichard D. James(Aphex Twin)と出会う。かつてはTom MiddletonとGlobal Communicationとして活動していた。多数の名義(Harmonic 313、Jedi Knights、Africa Hitech等)を使い分けていたが、2013年以降は本名のみで活動している。
CD1を締める、わずか2分半のアンビエント。余韻というよりも、ここまでの旅の記憶がゆっくりと沈殿していくような静けさ。閉じるのではなく、開いたままの区切りである。
CD2
1.Penguin Café – Ricercar
イギリス出身、Arthur William Phoenix Young Jeffesを中心とするグループ。父は伝説的なPenguin Cafe Orchestraを創設したSimon Jeffes(1997年に脳腫瘍で逝去)。Arthurはケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで考古学と人類学を専攻。2007年の父の死から、追悼コンサートをきっかけにPenguin Cafeを結成。BBCの依頼で2005年にスコット南極探検を追体験する極地遠征に参加したというユニークな経歴を持つ。
CD2トップバッターは、お馴染みでもあるPenguin Café 。心休ませるバイオリンで幕が開けられ、その旋律が爽やかな緑の風をまとい、心地よく体を吹き抜けていく。
2.José González – Afterglow (With The Brite Lites)
スウェーデン出身、José Gabriel González。アルゼンチン人の両親を持つ。ラテン・フォーク、キューバのSilvio Rodríguez、ハードコアパンク(Black Flag、Misfits)という幅広い音楽背景。Sony BRAVIAのカラーボール広告で使用された「Heartbeats」カバーや、ゲーム「Red Dead Redemption」への楽曲提供でも知られる。The Brite LitesはJosé Gonzálezのライブなどにおけるバックバンド。
こちらも穏やかな雰囲気を纏い、弦楽器と少し重く響くドラム、優しく静かに歌い上げる男性のコーラスがまったりと響く。
3.BadBadNotGood – In Your Eyes
カナダ出身のインストゥルメンタルバンド。2010年にHumber Collegeのジャズ専攻課程で出会ったChester Hansen、Matthew Tavares、Alexander Sowinskiにより結成。後にLeland Whittyが加入。Odd Futureへのジャズカバーをオンラインで公開したところ、Tyler, The Creatorの目に止まり注目を集めた。当初ジャズ教授から「音楽的価値がない」と批判されたという逸話が残る。Ghostface Killaとのコラボ(2015年)やKendrick Lamarとの共演など、ヒップホップ界との連携が深い。Grammyではvest Rap Albumで受賞、Polaris Prize(カナダ音楽賞)のノミネート歴がある。
どことなくルパン三世のサウンドを思わせるような、一時代を感じさせる曲の始まり。歌い上げもジャズやソウルを含んだ、官能性のある聴き心地。
4.Gwen McCrae – Let’s Straighten It Out
アメリカ出身、Gwendolyn Patricia McCrae(旧姓Mosley)。2025年2月に81歳で逝去。ペンテコステ派の教会で歌い始め、のちに夫George McCrae(「Rock Your Baby」のヒットで知名度のある)とともにマイアミのT.K. Recordsと契約。1975年に「Rockin’ Chair」がR&Bチャート1位を獲得。ヨーロッパのノーザンソウル/レアグルーヴシーンで「Queen of Rare Groove」と呼ばれた。Lady Gaga、Avicii、Madlibらに楽曲をサンプリングされるなど後世への影響も大きい。2012年にイングランドで公演中に脳卒中に倒れ、その後は活動を縮小した。本作収録の「Let’s Straighten It Out」は1974年のラティモアのオリジナルをカバーした1978年のトラック。
艶やかなレッドカーペットの敷かれた高級バー。ジャジーなムードに、魂の込められた熱い歌唱。古臭さという言葉がとても上品な香りを放つ曲。
5.Danit – Cuatro Vientos (Rey & Kjavik Remix)
スイス出身のシンガー・ソングライターDanit Treubig。その音楽性として「私の音楽は何よりも自然に着想を得ている。これらの楽曲は、母なる大地、そこに息づくすべての魔法のような植物や動物、そして生命を可能にする要素への愛と感謝の表現である」と述べている。
リミックスを担当したRey & Kjavikは ドイツ出身の匿名アーティスト(Alexander Schomann)によるソロプロジェクトと思われる。「本名を公表しない理由」を問われて「音楽そのものに語らせたかったから、あえて経歴も本名もプレスカット写真も出さなかった」としている。
霧雨の煙る山間へと放り出されたような気分にさせる、カントリーな情緒を持つ曲調。せっかくの祭りの飾り付けを濡らす雨が、それでもその自然の美しさを隠し通すことができない。村の中は雨で人影もないが、人の営みを強く訴えかけてくるよう。
6.El Búho, Minük – Corazon de Rubi
イギリス出身、DJ・プロデューサーのRobin Perkins。南米の民俗リズム、自然音、バードソング、ダウンテンポ・エレクトロニカを融合した独自サウンドで知られる。8年以上にわたりGreenpeaceで働いた経験を持つ環境活動家でもあり、絶滅危惧種の鳥の鳴き声を電子音楽に取り入れ、その収益を保護活動へ還元する非営利プロジェクト『A Guide to the Birdsong』のコーディネーターとしても知られている。
Minükは夫婦デュオである、コロンビア出身のAlejandra Ortizとスウェーデン出身Marcus Erik Bergによるプロジェクト。
口笛が高らかに響き、谷間にこだまする。森林が放つ精気が呼吸と共に空間に溶け込んでいく。清浄な空間に捧げる人々の祈りの歌声。
7.Ozo – Anambra (Edited Version)
イギリス出身、Hugh Ashton、Keni St. George、Val McDonald、Vernon Cummingsによるダブ・ソウル・ファンクグループ。「Anambra」は仏教のサンスクリット真言「Om Mani Padme Hum」をアフリカにルーツのあるニャビンギドラムに乗せた霊的なトラックで、ニューヨークのロフトパーティでDavid Mancusoが愛用した「ロフトクラシック」として伝説的な評価を持つ。
鐘が聞こえると、神聖な奉納の儀が始まる。どこの国でも神に捧げる行為は変わらないものだと思わせる。観光地でかけられる観光客向けの音楽ではない。音楽に向き合う姿勢のある曲。
8.Trentemøller, Jennylee – Hands Down (Trentemøller’s Blissed Out Mix)
デンマーク出身、Anders Trentemøller。1990年代後半にインディロックプロジェクトで音楽活動を開始し、2006年のデビューアルバム『The Last Resort』でエレクトロニックシーンに本格参入。以降、アンビエント、シューゲイザー、ダークウェイヴへと音楽性を広げ、Moby、Röyksoppなどのリミックスも手がける。GlastonburyやRoskilde Festivalなど主要フェスに出演。
Jennyleeはアメリカ出身、Jenny Lee Lindberg。インディロックバンドWarpaintのベーシストとしても知られる。
印象的な音使いとボーカル。決してポップではなく、しかしアンビエントに徹してもいない。象徴的でありながら、ふとすれば背景の音楽へと溶け込む。
9.Llorca, Halley Hiatt – Addiction Days
Llorcaはフランス出身のLudovic Llorca。独学のミュージシャンで全ての作曲・プロデュース・ミキシングを自分で行う。自ら「ジャズマンでもソウルマンでもなく、コンピューターで音楽を作る者」と称している。
共演者のHalley Hiattはアメリカ出身、R&B/ソウルポップ・シンガー。
ダウナーでダークな曲調に、少しノイズを感じるようなサックスの音色が喉の渇きを誘う。
10.Andrea Terrano – Heatwave
『イタリア人にロシアの隠し味』と自称するギタリスト・プロデューサー・スタジオエンジニア。Ennio Morriconeに師事した経験を持ち、Vangelis、Arvo Pärt、Bach、Brian Eno等に影響を受ける。ロシア、ジプシー、クレズマー、ダブ、ソウル、ラテン、キューバ、アフリカと多彩なスタイルをもつ。Basement Jaxxとの共作歴もあり。
熱い風に乗せるスパニッシュギターが、今作随一のIbizaらしさ、懐かしさをもたらしている。少し寂しげながら穏やかな涙を誘う旋律に、
11.Matt Dunkley – Cycle 1
イギリス出身、作曲家・オーケストラ編曲家のMatthew Charles Dunkley。Massive Attack、Patti Smith、U2、Tom Jones、The Pet Shop Boys、Catatonia、Dido、Badly Drawn Boy、Rufus Wainwright、Radiohead、Nick Cave、Editors、Emeli Sandé、Sam Smith、Billie Eilish」等、多数のポップ/ロックアーティストのアレンジ・指揮を担当した。
会場を満たす繊細な音色が、まるで絹糸を紡ぐように艶やかに織り込まれていくよう。観客は息を呑む音すらも憚るような、荘厳で穏やか、背筋を伸ばしたくなるオーケストラ。
12.Aukai – Colorado
東ドイツ出身、ドイツ系アメリカ人作曲家・マルチ奏者のRalph Markus Sieber。ベルリンの壁崩壊の15年前に東ドイツで生まれ、若い頃は東ベルリンのオルタナティブロックバンドで活動した後、俳優としてベルリンとサンクトペテルブルクで活動。2005年にメキシコへ移住し、先住民音楽に触れたことを機に、アルゼンチン発祥の10弦楽器ロンロコを中心に据えた音楽制作へ転換。コロラドの山小屋に篭ってレコーディングした逸話を持つ。「Aukai」はハワイ語で「海を旅する者」の意。2018年にLaura Dern主演映画『The Tale』の音楽を担当。
ドローンによる空撮のような、広大で雄大な景色を俯瞰する感覚を想起させる。その旋律が、自然の厳しさやエネルギーを訴えかけてくる。
13.James Heather – Oizys
イギリス出身のピアニスト・作曲家。主にアンビエント・ピアノ、コンテンポラリークラシカルのスタイルで作品を発表している(詳細な個人情報は公開情報が限られる)。
ピアノによる、寂しい抒情を持ちながら、雨や風の匂いを感じさせる有機的な空気感。
14.Moby – This Wild Darkness
アメリカ出身、Richard Melville Hall。1965年9月11日生まれ、ニューヨーク(ハーレム)出身。小説家ハーマン・メルヴィルの子孫とされる。9歳からギターとピアノを学び、1980年代はヴァチカン・コマンドーズなどパンクバンドで活動後、1989年にNYCへ移ってエレクトロニック・ダンスミュージックに転向。1991年のシングル「Go」がヨーロッパで大ヒット。1999年のアルバム『Play』が世界的に空前のヒット(全曲が映画・テレビ・CM等にライセンス)。ビーガン主義・動物権利活動家として知られ、マンハッタンでビーガンカフェTeaNYを、ロサンゼルスでレストランLittle Pineを経営していた経験も持つ。本作収録の「This Wild Darkness」は2018年アルバム『Everything Was Beautiful, and Nothing Hurt』収録。
優しいラップとコーラスが場を包み、まるで色とりどりのバルーンにくくりつけられた会場ごと、宙へと放たれていくよう。タイトル詐欺かというほどに、対比となる光を思わせる。
15.Carl Craig – The Melody (Versus Edit Version)
アメリカ出身、Carl Craig。デトロイト・テクノ第二波の主要人物。ジャズ・ファンクとテクノの橋渡し役でもあり、モントルー・ジャズ・フェスティバルやカーネギーホールにも出演。2000年にDetroit Electronic Music Festivalを創設し、デトロイトの都市復興にも貢献。Grammy賞ノミネート歴もある。本作での「The Melody (Versus Edit Version)」はオーケストラとテクノを融合した「Versus」プロジェクト(Francesco Tristanoらとの協作)からの作品。
最も意外な選出である、デトロイト・テクノの雄がラストを飾る。そして、これは果たしてチルなのかと疑われることだろう。だがこの意外性がチルアウトたる所以であると確信させ、そして一つのアルバムとして溶け合い、意外でなくなる。

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